2024/11/29

老犬の体重が減少したときの原因と対策方法について解説

「最近、愛犬が以前より痩せてきた気がする…」

そんな変化に気づいたら、飼い主として心配になりますよね。

特に、愛犬が高齢の場合は、なおさら不安を感じてしまうかもしれません。

老犬の体重減少は、加齢に伴う自然な変化であることもありますが、病気のサインである可能性も考えられます。

「もしかして、何か悪い病気なのでは…?」

「このまま体重が減り続けたらどうしよう…」

そんな不安を抱えている飼い主さんもいるのではないでしょうか?

この記事では、老犬の体重が減少する原因を分かりやすく解説し、具体的な対策方法を紹介します。

体重減少を引き起こす病気、老化による体の変化、そして、食事や生活環境の改善方法など、愛犬の健康を守るための情報をまとめました。

この記事を読むことで、愛犬の体重減少の原因を理解し、適切な対策を始めることができます。

愛犬の健康寿命を延ばし、いつまでも一緒に楽しい時間を過ごすために、ぜひこの記事を参考にしてください

 

老犬の体重が減少してしまうのは何故?

愛犬の体重が減ってきた…もしかして病気?と、心配になりますよね。老犬の体重減少は、様々な原因が考えられます。

老化による自然な変化の場合もありますが、病気のサインである可能性もあります。愛犬の様子をよく観察し、原因を特定することが大切です。

ここでは、老犬の体重が減少してしまう原因を3つに分けて詳しく解説していきます。

原因①:病気

老犬の体重減少は、様々な病気が原因で起こる可能性があります。

代表的な病気は以下のようなものが考えられます。

病気

症状

糖尿病

インスリンの分泌不足や作用不足によって、ブドウ糖がエネルギーとして利用されず、体重減少が起こります。

腎臓病

腎臓の機能が低下することで、食欲不振や嘔吐などを引き起こし、体重減少に繋がります。

甲状腺機能亢進症

甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、代謝が亢進し、体重減少が起こります。

消化器系の病気

胃腸炎や腸閉塞など、消化器系の病気が原因で、栄養の吸収が阻害され、体重減少が起こることがあります。

がん

がん細胞が栄養を奪うことで、体重減少が起こることがあります。

「最近、水を飲む量が増えた」「食欲はあるのに体重が減る」など、いつもと違う様子が見られたら、早めに動物病院を受診しましょう。

早期発見・早期治療が、愛犬の健康を守る上で重要です。

原因②:消化・身体機能の衰え

老犬になると、消化器官や身体機能が衰え、体重減少に繋がる場合があります。

具体的には、以下のようなことが起こります。

  • 消化液の分泌量が減少: 食べ物を消化するための消化液の分泌量が減少し、栄養の消化吸収がうまくいかなくなる。
  • 腸の運動能力の低下: 腸の動きが鈍くなり、栄養の吸収効率が悪くなる。
  • 歯の磨耗や抜け落ち: 歯が弱くなり、食べ物をうまく噛み砕けなくなることで、消化不良を起こしやすくなる。

これらの変化により、食べたものが十分に消化吸収されず、体重減少に繋がってしまうのです。

消化・身体機能の衰えによる症状

  • 食欲不振
  • 消化不良
  • 便秘
  • 下痢
  • 嘔吐

愛犬にこのような症状が見られる場合は、消化器系の機能が衰えている可能性があります。

獣医師に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

原因③:年齢による体の変化

老犬になると、年齢による体の変化も体重減少に影響します。

具体的には、以下のような変化が起こります。

  • 基礎代謝の低下
  • 筋肉量の減少
  • 活動量の減少

 

年齢を重ねるにつれて、基礎代謝や筋肉量が減少してしまいエネルギー消費量が少なくなることで、活動量にも比例して落ちていく変化が起こってしまいます。

これらの変化により、消費エネルギーが摂取エネルギーを下回り、体重が減少してしまうのです。

「歳だから仕方ない」と諦めずに、愛犬の年齢に合わせたケアをしてあげることが大切です。

適度な運動や食事の工夫によって、健康的な体重を維持できるようサポートしましょう。

体重が減少したときのリスク

老犬の体重減少は、見た目だけの問題ではありません。

体重が減り続けると、様々なリスクが生じます。

  • 免疫力低下: 栄養不足により免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなります。
  • 体力低下: 筋肉量が減少し、体力が低下することで、疲れやすくなったり、運動能力が低下したりします。
  • 生活の質の低下: 体力低下や食欲不振などにより、散歩や遊びを楽しむことができなくなり、生活の質が低下します。
  • 病気の悪化: 基礎疾患がある場合は、体重減少によって病状が悪化することがあります。
  • 寿命の短縮: 重度の体重減少は、寿命を縮める可能性があります。

「体重が少し減っただけだから大丈夫」と安易に考えず、適切な対策を講じることが重要です。

痩せすぎの目安

愛犬が痩せすぎているかどうかを判断する目安として、BCS(ボディコンディションスコア)があります。

BCSとは犬や猫の体型を評価する5段階または9段階の指標で、肥満度や痩せ具合を簡単に判断できる方法です。

 

BCSとは

BCS(ボディーコンディションスコア)とは、動物の脂肪蓄積具合を数値化して栄養状態を評価する方法です。


BCSは、ペットから家畜まで様々な動物に適用可能で、基本的には1から5の5段階評価を使用しますが、動物種によって異なる場合があります。

評価方法は、視診や触診を通じて体の特定部位を観察し、骨の突出具合や脂肪の厚みを確認することによって行われます。専門家が決められた基準に従ってスコアを付けます。

BCSは動物の健康管理や飼養管理において重要なツールとして広く活用されています。

 

以下はBCSを5段階で評価したさいの状態になります。

BCS

状態

1

痩せすぎ

2

痩せ気味

3

理想的

4

太り気味

5

肥満

BCS1~2の場合は痩せすぎている可能性があるので、動物病院を受診しましょう。

愛犬を上から見て、ウエストのくびれがはっきりしているか、横から見てお腹が適度に引き締まっているかを確認しましょう。

また、肋骨を触ってみて、簡単に触れるようであれば痩せすぎている可能性があります。

日頃から愛犬の体型をチェックし、体重の変化に気を配りましょう。

老犬の体重が減少したときの4つの対策方法

老犬の体重減少には、様々な対策方法があります。

ここでは、4つの対策方法を紹介します。

  1. 温活
  2. 適度な運動
  3. 床ずれ対策
  4. 食事改善

 

これらの対策を総合的に行うことで、より効果的に体重減少を改善することができます。

温活のススメ

老犬は、体温調節機能が低下し、寒さを感じやすくなっています。

体が冷えると、血行不良や代謝の低下を招き、食欲不振や体重減少に繋がる可能性があります。

愛犬が快適に過ごせるよう、室温は20~25℃に保ちましょう。

また、寝床には、保温性の高い素材のものを使用したり、湯たんぽやペットヒーターなどを活用したりするのも良いでしょう。

洋服を着せてあげることも、保温効果が期待できます。

さらに、マッサージをしてあげることで、血行促進効果も期待できます。

適度に運動させてあげる

適度な運動は、食欲増進、筋肉量増加、基礎代謝アップに効果的です。

しかし、老犬は体力や関節が弱くなっているので、無理のない範囲で運動させてあげることが大切です。

散歩は、1回15~30分程度を目安に、愛犬のペースに合わせて行いましょう。

また、室内でできる遊びを取り入れることもおすすめです。

例えば、おもちゃを使った遊びや、簡単なトレーニングなど、愛犬が楽しめる運動を見つけましょう。

運動後は、しっかりと休息を取らせてあげましょう。

床ずれにも対策する

床ずれは、体重減少に繋がるだけでなく、痛みや炎症を引き起こし、愛犬のQOL(生活の質)を低下させます。

特に、老犬は、皮膚が薄く、骨が突出しているため、床ずれを起こしやすくなっています。

床ずれを予防するためには、寝床の素材選びが重要です。

クッション性が高く、通気性の良い素材を選びましょう。

また、定期的に体位変換をしてあげることも大切です。

2~3時間ごとに体位を変え、同じ場所に圧力がかかり続けないようにしましょう。

床ずれができやすい箇所は、こまめにチェックし、マッサージをして血行を促進してあげましょう。

対策の重要ポイント│食から改善を!

老犬の体重減少対策において、最も重要なのは食事改善です。

食事内容を見直し、栄養バランスを改善することで、体重減少の改善に繋がります。

老犬の消化機能は低下しているので、消化の良い食材を選び、必要な栄養素をしっかりと摂取できるように工夫しましょう。

栄養バランスが崩れないよう注意

老犬にな重要な栄養素は、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルです。これらの栄養素がバランス良く含まれた食事を与えることが大切です。ドッグフードを選ぶ際は、老犬用に作られたものを選びましょう。老犬用ドッグフードは、消化吸収に配慮し、高タンパク質、低脂肪のものが多くなっています。手作り食を与える場合は、栄養バランスに注意が必要です。肉や魚などのタンパク質、野菜、穀物などをバランス良く組み合わせましょう。また、サプリメントを活用するのも良いでしょう。サプリメントは、不足しがちな栄養素を補うのに役立ちます。

体に優しい食材を選んであげる

老犬の消化機能は低下しているので、消化しやすい食材を選びましょう。鶏肉、白身魚、豆腐、かぼちゃ、さつまいもなどがおすすめです。脂肪分の多い肉や、消化の悪い食物繊維の多い野菜は避けましょう。また、食材は細かく刻んだり、柔らかく煮たりして、消化しやすいように調理しましょう。アレルギーのある場合は、アレルゲンとなる食材を避けるようにしましょう。

痩せ対策におすすめの食材

愛犬に、健康的に体重を増やしてもらうために、おすすめの食材を紹介します。
ドッグフード以外からも健康面を意識したい飼い主さんにはおすすめです。

バナナ、リンゴ

バナナは、エネルギー源となる炭水化物、カリウム、ビタミンB6などが豊富です。リンゴは、食物繊維が豊富で、整腸作用やコレステロール値を下げる効果も期待できます。どちらも、皮をむいて、小さく切って与えましょう。

サツマイモ、ジャガイモ

サツマイモは、食物繊維、ビタミンC、ビタミンEなどが豊富です。ジャガイモは、炭水化物、ビタミンC、カリウムなどが豊富です。どちらも、蒸したり、茹でたりして柔らかくしてから与えましょう。

ジャーキー類

ジャーキーは、高タンパク質、高カロリーで、愛犬の体重増加に役立ちます。ただし、塩分が多いものもあるので、選び方には注意が必要です。無添加、低塩分のものを選び、少量を目安に与えましょう。

甘酒

甘酒は、消化吸収が良く、ビタミンB群、アミノ酸、ブドウ糖などが豊富です。疲労回復効果も期待できます。ただし、糖分が多いので、与えすぎには注意が必要です。水で薄めて、少量を目安に与えましょう。

ヨーグルト、ヤギミルク

ヨーグルトは、乳酸菌やビフィズス菌が豊富で、腸内環境を整える効果があります。ヤギミルクは、牛乳よりも消化吸収が良く、栄養価も高いです。どちらも、無糖のものを選び、少量から始め、愛犬の様子を見ながら量を増やしていきましょう。

砂糖・はちみつ

砂糖やはちみつは、エネルギー源になりますが、与えすぎると肥満や虫歯の原因になります。少量を、おやつやトッピングとして与えるようにしましょう。

亜麻仁油

亜麻仁油は、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚や被毛の健康維持、抗炎症作用、免疫力向上などが期待できます。ドッグフードに混ぜたり、直接与えたりすることができます。

まとめ

老犬の体重減少は、様々な原因が考えられます。愛犬の様子をよく観察し、原因を特定することが大切です。体重減少には、様々なリスクが伴います。体重が減り始めたら、早めに適切な対策を講じましょう。対策方法としては、温活、適度な運動、床ずれ対策、食事改善などがあります。これらの対策を総合的に行うことで、愛犬の健康維持に繋がります。愛犬と少しでも長く、健康に過ごすために、今日からできることから始めてみましょう。