2024/09/18

犬が嘔吐した際によくある原因は?嘔吐の種類や要因を紹介

「愛犬が急に吐いた!」

「苦しそうだけどどうするべき?」

…など、愛犬のが急に嘔吐するを見て不安に思う場面は多いでしょう。

犬が嘔吐する原因は、食べ過ぎや消化不良、誤食や誤飲などさまざまです。

様子を見たほうがいい場合もあれば、すぐにでも病院を受診したほうがいい場合もあります。

そこで今回は、犬が追うとする原因や嘔吐の種類、嘔吐を引き起こす犬の疾患について解説します。

犬が嘔吐した際によくある原因は?

犬が嘔吐する理由としては、主に下記のような原因が挙げられます。

  • 誤食や誤飲
  • 消化不良
  • 食べ過ぎ
  • 空腹
  • 水分不足
  • 体内での異常・疾患
  • 出血
  • 寄生虫の感染 ほか

そもそも犬は、人間よりも嘔吐しやすい動物と言われています。これは人間と違い、四足歩行のために口から食道、胃までが地面に対して平行しているためであり、構造上吐き出しやすい体質だからです。

このほかにも、犬の食道の筋肉には横紋筋がたくさんあり、意識的に動かせることができる点も嘔吐しやすい理由と言われています。

上記の通り犬が嘔吐する原因はさまざまなので、くわしくは「犬が吐いたものや色別!嘔吐の種類や要因を紹介」を参考にしてみてください。

病院に行くべき?犬が嘔吐した際にチェックするポイント

以下のような症状が見られた場合、すぐにでも病院へ連れていきましょう。

病院に連れていくべき症状
  • 何度も繰り返し吐く
  • 毎日吐く
  • 吐こうとするのに吐き出せない
  • 食欲や元気がない
  • 痛みや苦痛がある
  • 発熱している
  • 下痢などの症状がある
  • 食べ物を飲み込めず吐こうと苦しがる
  • おもちゃの破片など異物をはいている
  • 血が混じっている
  • 便の匂いがする

犬の嘔吐には緊急性が低い“生理現象”的なもの、そして緊急性が高い“病気の可能性”があります。上記で挙げた症状は、まさに病気の可能性が高い嘔吐です。獣医師に相談のうえ適切な処置を受けましょう。

犬が吐いたものや色別!嘔吐の種類や要因を紹介

実は、嘔吐物の特徴によってその原因や理由、緊急性の高さをチェックすることができます。病院を受診する判断基準にもなるので、犬が嘔吐した際はすぐに片付けようとせず、嘔吐物の様子や色を観察しましょう。写真を取っておくと、受診の際に獣医師に見せることができるのでおすすめです。

ではここから、嘔吐したものや色の特徴から原因や理由、緊急性について解説します。

毛玉を吐いている

毛玉の嘔吐物は、カーペット・床・おもちゃなどに付着した犬の被毛やホコリ、飼い主の髪の毛などを誤飲したことによるものです。誤飲した毛はほとんどの場合便として排出されますが、胃腸に残留したものを排出させるために嘔吐するケースがあります。

嘔吐した後もいつもの様子と変わらず元気な場合、緊急性が低く受診の必要はないでしょう。毛玉の嘔吐を減らすには、こまめなブラッシングや掃除が効果的です。

黄色い液体を吐いている

黄色い液体は胆汁です。長時間空腹状態が続くと胆汁が胃に逆流し、その刺激で黄色い液体を吐くことがあります。胃液は透明ですが、胆汁が混ざることで嘔吐物も黄色っぽい色をしているのがその特徴です。

空腹時に胆汁を吐き出す症状は「胆汁嘔吐症候群」と呼ばれ、早朝や食事前の空腹時によく見られます。食事の時間や回数を変えることで予防することが可能です(早朝に吐くのであれば夜の食事時間を遅らせる、など)

しかし、時間や回数を変えても嘔吐が続くようであれば肝臓や腎臓に疾患がある可能性があります。繰り返し黄色い液体を吐く場合は緊急性が高いので、病院を受診しましょう。

透明の液体や泡を吐いている

透明な液体のほとんどは胃液です。空腹が続いているときや暑い日などに水を一気にたくさん飲むと、胃液が混じった水を吐き出すことがあります

また透明の泡は、過剰な唾液を飲み込んだ際に起こる嘔吐物です。車酔いをしたり緊張状態が続いたりすることで吐き出すケースがあります。

透明の液体や泡、いずれの場合も緊急性は高くないため、日常生活での改善で予防が期待できます。

もしも水を一気飲みする癖があれば、少ない量をこまめに給水してあげましょう。また空腹で吐き気を催す際は、ドッグフードやおやつを少量与えて空腹状態を解消することがポイントです。車酔いしやすい犬には、身体が進行方向に向くように調整したり、犬用の酔い止め薬を飲ませたりすることで予防できます。

茶色いものを吐いている

茶色い液体の正体はドッグフードです。ドロドロしている液体は消化されていない状態のドッグフードであり、固形物が混ざるケースもあります。この場合、吐き出した後に元気であれば緊急性は低いため、心配する必要はないでしょう。

しかしドッグフードが消化されており、さらさらした液体にも関わらず茶色い場合は、古い血液が混ざっている可能性が高く病気の可能性があります。胃潰瘍や胃炎、十二指腸などが原因で消化管から出血を起こすと、嘔吐物に血液が混ざる場合があるので注意しなくてはなりません。

場合によっては大きな病気が潜んでいることもあるため、さらさらした茶色い液体を吐く場合は病院を受診しましょう。

赤いものを吐いている

赤い液体は、口腔内や食道、胃の入口、呼吸器からの出血が考えられます。もしも歯肉炎や硬いものを噛んだことで口の中が傷つき出血しているのであれば、緊急性は高くないでしょう。

しかし、赤い液体には口の中の腫瘍、肺腫瘍、心疾患による肺水腫、胃潰瘍、食道炎などの病気が潜んでいる可能性があります。特に、赤黒い場合は消化管内にできた腫瘍が破裂したり、呼吸困難を起こす心臓性肺水腫であったりと重篤なケースが考えられるため、緊急性が高いです。

少しでも気になる様子が見られれば、すぐに病院の受診し検査や処置を受けましょう。

異物を吐いている

食べ物ではないものが嘔吐物に混ざっている場合は、異物の誤飲・誤食が考えられます。

異物によっては時間が経つと便とともに排泄されるケースが多いですが、大きすぎる場合は食道や胃、腸の閉塞を起こすリスクが高いです。また、異物を吐き出した後も嘔吐が続く場合は、異物を(残った異物が小腸に移動した可能性)身体が吸収(消化管から毒性がある異物が吸収された?)している可能性があるためすぐにでも病院を受診しましょう。

犬が誤飲・誤食しやすいものとして挙げられるのは、小さな子供のおもちゃやボールがあります。また骨がついたフライドチキンや串のついた焼き鳥は非常に危険です。異物で消化管に穴があくと非常に強い腹痛を起こすため、誤飲・誤食を防ぐためにも日頃から注意する必要があるでしょう。

嘔吐を引き起こす犬の疾患もある

犬の嘔吐を伴う疾患は、以下の4つに分類されます。

  • 消化器の病気
  • 消化器以外の病気
  • 中毒による嘔吐
  • 感染症

消化器の病気による嘔吐は、食道や胃、その他消化器系臓器の疾患が考えられます。もしも嘔吐物に赤や茶色の液体が混ざっている場合は、緊急性が高い病気なのですぐに治療が必要となるでしょう。

消化器以外にも、腎不全や膵炎、糖尿病による嘔吐もあります。特に糖尿病は命に関わる病気なので、迅速な治療が必要です。

そして人間が口にするものを犬に与えると、中毒を起こすケースがあります。ほかにも、コロナウイルスやパルボウイルスなど、感染症によって嘔吐を引き起こす場合もあるため、定期的なワクチン接種で予防する必要があるでしょう。

ではここで、嘔吐を伴う犬の病気や対処法についてさらにくわしく解説します。

消化器の病気

犬は、胃や小腸、大腸に炎症・腫瘍・閉塞などの病気があると嘔吐する場合があります

たとえば胃拡張や胃捻転症候群は、ゴールデンレトリバーやシェパードなどの大型犬に多い病気です。悪化すると胃や脾臓がねじれて内臓が機能しなくなったり、胃に大量のガスが溜まって苦しがったりするため、早めの処置が必要となるでしょう。嘔吐のほかに、お腹の張りや空えづきが見られる場合は注意しなくてはなりません。

また嘔吐だけではなく、食欲不振や下痢などの症状が見られる場合は腸閉塞の可能性があります。腸閉塞は、異物や腫瘍、腸管が変形してしまうことで腸の動きが悪くなり、食べ物が身体の中でうまく進まないことで腸が詰まる病気です。

一般的に消化器系の病気では、嘔吐のほかに脱水や腹痛、流涎などが見られるため、このような様子が見られる場合はすぐに病院を受診しましょう。

消化器以外の病気

消化器以外の病気で考えられるのは、腎不全、膵炎、糖尿病などです。

腎不全は腎臓が正常に機能しなくなる病気で、嘔吐以外にも多飲多尿、貧血、体重の減(減少)りなどが見られます。

膵炎は、膵臓の消化酵素で膵臓自体が消化し、炎症を起こす病気です。嘔吐を繰り返したり、食欲不振や腹痛、下痢が見られる場合は急性膵炎の可能性があります。

もっとも注意したい糖尿病は、ケトン体が血中に増えることで血液が酸性に傾き、重度の脱水や嘔吐、意識障害が見られる病気です。先ほど触れたように、命に関わる病気なので迅速な処置が必要となるでしょう。

中毒による嘔吐

チョコレートやネギ類、ぶどう、カフェインなどを口にすると中毒を起こし、嘔吐だけではなく下痢や痙攣、呼吸不全、血便、血尿などの症状が見られるようになります。また食べ物以外でも、ユリ科の植物やあじさい、ポインセチアなど(などの観葉植物)も中毒を引き起こすので注意しなくてはなりません。

もしも中毒を引き起こすものを誤飲・誤食した、またはその可能性がある場合は、すぐにでも病院を受診しましょう。

感染症

嘔吐を伴う感染症で挙げられるのは、先述の通り犬コロナウイルスや犬パルボウイルスなどです。ワクチンの接種で予防することができますが、ワクチンを接種していない場合は十分な免疫がないため、発症するケースがあります

感染症を発症すると、嘔吐だけではなく下痢、血便、発熱、食欲低下が見られます。成犬の場合は軽症もしくは無症状のこともありますが、免疫がない子犬は重篤化して命のリスクを伴う恐れがあるため注意しなくてはなりません。

どちらにせよ、ワクチン接種で感染症を未然に防ぐことができるため、必ず受けるようにしましょう。

犬の嘔吐に関する気になる疑問

体質的によく起こるとはいえ、犬の嘔吐に不安を覚える飼い主は少なくないでしょう。吐いた後はどうしたらいいのか、また吐き出したものを食べるのはなぜなのか?犬の嘔吐に関わる疑問について紹介します。

犬が吐いた後はどうしたらいいですか?

犬が吐いた後は、食事を控えましょう。具体的には、半日程度食事を控え、胃腸を休ませてあげることが理想です。

嘔吐した直後は胃が食べ物や水分を受け付けないこともあります。脱水症状を防ぐためにも、少しずつ水分を与えたり、氷を数個与えても良いでしょう。

犬が何度か吐いたけど元気な場合はどうする?

吐いた後も元気があれば、過度に心配することはありません。とはいえ、何度も吐く場合は病気が隠れている可能性があるため、できるだけ早く病院を受診しましょう。

犬が吐き戻したものを食べるのはなぜですか?

犬がドッグフードを食べた直後に吐き出し、すぐに吐き出したものを食べるケースがあります。これは嘔吐ではなく吐出と呼ばれる状態であり、急いで食べたことが原因で未消化のフードを吐き出しただけなので、心配はいりません。

もしも吐出を繰り返す場合は、早食いをやめさせてゆっくり食べさせる工夫が必要です。早食い防止の皿などが役に立つでしょう。

まとめ

犬は嘔吐しやすい体質なので、嘔吐した直後も元気があれば基本的に心配しなくても構いません。
しかし、嘔吐物の様子を観察することで隠れた病気を見抜いたり、嘔吐以外の症状でさまざまな病気を疑ったりすることができます。
嘔吐しやすいからと言って放置するのではなく、少しでも気になる様子があれば病院を受診しましょう。また、嘔吐した直後は食べ物や水分を受け付けない可能性もあります。胃を休めるためにも、嘔吐直後は絶食・絶飲で様子を見ましょう。