「ペットフードだけで毎日の栄養は足りてるか気になる」
「ペット用品点で犬用サプリメントを見かけたけど、どんなもの?」
など、愛犬の栄養や犬用サプリメントに興味・関心を持つ人も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、犬用サプリメントの概要や種類、選び方、おすすめのサプリメントを紹介します。
目次
犬用サプリメントとは?役割を紹介
私たち人間と同じように、愛犬の健康を支えるのは食事で摂る栄養です。そして不足した栄養を補うために便利なのが、犬用サプリメントの存在。
ここでは犬用サプリメントの目的や価格、種類などを詳しくご紹介します。
犬用サプリメントの与え方が知りたい、また愛犬にぴったりな犬用サプリメントの種類を見つけたい方はぜひ参考にしてみてください。
犬用サプリメントの概要
まずは、犬用サプリメントの概要を表にまとめました。
与える目的 | 被毛の美しさを保つ、関節の健康維持、神経の健康維持、腸内環境の改善(善玉菌を補う)、栄養の不足分を補う、視界の健康維持、口腔エチケット、若々しさの維持 |
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形状 | 粒、タブレット、カプセル、ソフトカプセル、顆粒、粉末、液体、おやつなど |
価格帯 | 1袋数百円〜数万円 |
年間の平均費用
※ |
10,783円 |
※参考:2023最新版ペットにかける年間支出調査(アニコム損害株式会社)|PRTIMES
冒頭でも触れたように、犬用サプリメントの目的は不足しがちな栄養素を補うことです。
- ペットフードの栄養バランスが気になる
- 獣医師に特定の栄養素(カルシウムなど)が不足していると指摘された
など、健康維持の手助けになる犬用サプリメントはさまざまなシーンで役立ちます。また、年齢に合う犬用サプリメントであれば早すぎることはありません。若いうちから健康に配慮したい犬にもおすすめします。
ちなみに、犬用サプリメントはペット用品店やドラッグストア、動物病院などで購入可能です。
獣医師
宮田先生
毎日の診察の現場で、飼い主さんに犬用サプリメントの話をすることは珍しくありません。私自身が効果を実感しているサプリメントは使用を勧めています。体調が良くなった飼い犬と生活できるようになって、嬉しくない飼い主さんはいませんよね。笑顔で効果を報告する飼い主さんを見ると、こちらも嬉しくなります。サプリメントは動物医療を十分に補完するものと思っています。
犬用サプリメントの種類
犬用サプリメントにはさまざまな種類があるので、目的に合わせて選ぶことが大切です。目的別でおすすめしたい犬用サプリメントについて簡単にまとめましたので、当てはまるものを選んでクリックしてみてください。
関節の健康維持を目指したい | 関節系サプリメント |
ビタミンやミネラルを総合的に補いたい | ベースアップサプリメント |
加齢やストレスによる問題行動が気になる | CBD(カンナビジオール) |
筋力の低下を補いたい | アミノ酸系サプリメント |
椎間板疾患など脊椎機能の維持を目指したい | 神経系サプリメント |
ストレスや恐怖心を緩和したい | ミルクカゼイン |
肝機能の健康維持を目指したい | 肝臓保護系サプリメント |
スムーズな排泄をサポートしたい | 吸着剤系サプリメント |
上記以外の場合 | その他 |
関節系サプリメント
加齢に伴う関節の不具合、また可動域の減少が見られる関節炎、また外傷により関節が傷ついている場合などに摂取するサプリメントです。
関節の保護はもちろん、歩行や運動機能の向上・維持を目指したい犬におすすめします。
ベースアップサプリメント
健康維持に欠かせないビタミン・ミネラル・アミノ酸・食物繊維・DHA・EPAなどを補うためのサプリメントです。
毎日の健康維持はもちろん、加齢による体力や活力の低下が気になる犬におすすめです。
CBD(カンナビジオール)
加齢やストレスなどで不足するCBD(カンナビノイドの一種)を補い、身体の調節機能低下を予防するサプリメントです。
調節機能の低下による問題行動(夜泣きや旋回行動など)、身体の痛みが心配な犬におすすめです。
アミノ酸系サプリメント
不足しがちな必須アミノ酸を効率よく補うことで、筋力の維持や免疫力の向上、皮ふや爪の機能維持などをサポートするサプリメントです。
アミノ酸は丈夫な身体づくりにも欠かせないため、子犬や成犬の栄養補助におすすめします。
神経系サプリメント
脳の神経型に含まれているDHAやEPAを補うことで、記憶力や行動能力の維持をサポートするサプリメントです。
脳の神経細胞の情報伝達をスムーズにする働きが期待できるため、高齢の犬におすすめします。また、神経系サプリメントは椎間板疾患など脊椎機能の維持を目指したい犬にもぴったりです。
ミルクカゼイン
ミルクに含まれるタンパク質のカゼインを補い、不安な気持ちを和らげる働きが期待できるサプリメントです。
旅行に出かける、ペットホテルや動物病院などで家から離れる、授乳・離乳などを目的に使用します。
肝臓保護系サプリメント
肝臓の健康維持をサポートすることで、代謝をスムーズにする働きが期待できるサプリメントです。
肝臓は身体の中の毒素を分解して無毒化したり、栄養素の分解・合成・貯蔵をしたりと重要な働きをする器官ですが、症状が現れにくいため、日頃の栄養管理が欠かせません。
吸着剤系サプリメント
吸着剤系サプリメントは排泄をスムーズにすることで、老廃物が体内に蓄積するのを防ぐサプリメントです。
老廃物が蓄積されると嘔吐が下痢などの消化器症状や、さまざまな神経障害に繋がります。リンを吸着し、便とともに排泄することで将来的な疾患予防につなげるのが吸着系サプリメントの目的です。
その他
上記で紹介した犬用サプリメントは代表的なものですが、これら以外にも犬用サプリメントには下記のタイプも製造・販売されています。
- 貧血・低カリウム血症対策のサプリメント
- 認知機能障害が見られた場合に使用するサプリメント
- 口腔のにおいや細菌に対処するサプリメント
- 滋養強壮に役立つサプリメント
- 尿を酸性にしてにおいを軽減するサプリメント
- 目の疾患予防に役立つサプリメント
- 腸内環境を整えるサプリメント
犬用サプリメントは目的や悩みに合わせて選ぶのが基本です。次の章では、犬用サプリメントの正しい選び方について解説します。
犬用サプリメントの選び方
犬の健康維持に役立つサプリメントですが、医薬品ではなくてもその使用感には個体差があります。
直接口にするものだからこそサプリメントの成分や対象年齢、安全性にはこだわるべきと言えるでしょう。
ここで犬用サプリメントの選び方に不安がある人に向け、選び方のポイントを項目別にご紹介します。
成分で選ぶ
犬用サプリメントは手軽に与えやすいものでもあり、目的に合わせた成分がそれぞれ配合されていますが、なかには中毒を引き起こす物質が含まれている可能性があります。
タマネギやにんにく、ブドウなどが含まれている犬用サプリメントには注意しましょう。
原材料の原価が高い成分にありがちな話ですが、論文などでデータが示されている成分でも、配合量が極めて少ないサプリメントも存在します。
極微量でも配合されていればパッケージやサイト上に原材料として表記することができますが、極微量の成分を摂るのが本当に意味のあることなのかは難しい話でしょう。
安心安全を求める意味でも、有効成分量がある程度開示されている犬用サプリメントをおすすめします。
年齢に合わせて選ぶ
犬用サプリメントは年齢に合わせたものを選ぶのがベストです。
たとえば子犬の場合は、母乳に近い成分(ミルクカゼインなど)や善玉菌を補う成分(ラクトフェリンなど)がおすすめです。
ただし、成長段階である子犬は栄養バランスが崩れないよう注意してあげなくてはなりません。子犬用、また子犬にも与えられると明記されたサプリメントが望ましいでしょう。
また成犬は善玉菌を補う成分(ラクトフェリンなど)や若々しさを維持する成分(ベースアップ系など)がおすすめです。
成犬よりも多くの配慮が必要になる老犬には、関節をサポートする成分(グルコサミンなど)や免疫力の維持をサポートする成分(DHAなど)がぴったりです。
健康状態は加齢とともに変化していくため、補うべき成分も増えていきます。
とはいえ、何種類ものサプリメントを一度に摂取するのは負担も大きいので、一度に複数の成分が効率よく接種できるサプリメントがおすすめです。
安全性で選ぶ
犬用サプリメントは医薬品ではないため厳しい制限などはありませんが、逆に言えば成分試験や安全試験を行わなくても販売できるため、品質や食品としての安全性には配慮したいところです。
ポイントは、情報量とその中身です。
- 配合成分の含有量が記載されているか
- 原材料にどんなこだわりがあるか
- 取り扱い先は記載されているか
- 製造メーカーの規模はどれくらいか
- 製造工場の安全性がわかる情報(GMP認定など)が公開されているか
などが判断ポイントと言えるでしょう。
このほかにも、接種しやすい形状のサプリかどうかをチェックするのもおすすめです
獣医師
宮田先生
サプリメントは長期間与えるので、少ないストレスで投与できる商品を選びましょう。
飼い犬が好んでパクッと食べてしまうほどの嗜好性があれば楽ですが、食物アレルギーがある飼い犬の場合は嗜好性の前に、原材料に注意を配って下さい。 また、サプリメントを製造する会社の歴史も参考になります。
たとえばガンを患う犬に、その縮小や生活の質向上を期待して投与するサプリメントがあります。多くは人で効果が見られたものを犬に転用しています。歴史が長い会社ほど、ガン患者さんやご家族の支持を得続けて来たことになります。
選ぶならこのような会社のサプリメントにしたいですね。
獣医師おすすめ!犬用サプリ5選
数ある犬用サプリメントの中から、獣医師もおすすめするサプリメントを厳選してご紹介します。
基本的には年齢サポート系となっているため、サプリメント選びの参考にしてみてください。
アンチノールプラス
動物病院での取り扱い件数も多いアンチノールプラスは、関節や皮ふ・被毛、心血管、腎臓、脳などの健康維持に役立つ成分を配合した複合型サプリメントです。
容量 | 30粒・60粒・90粒・180粒・270粒(全5タイプ) |
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料金 | 3,828円(税込)〜 |
形状 | カプセル |
きびきび散歩プレミアム
きびきび散歩プレミアムは関節をサポートする8つの成分を配合したサプリメントです。
加齢とともに関節の心配が増える犬におすすめします。
容量 | 60粒 |
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料金 | 1,265円(税込) |
形状 | タブレット |
ぱっちり
ぱっちりはアントシアニンをはじめ視界をサポートする成分を6種配合したサプリメントです。
加齢とともに増える目のトラブルを防ぐために、若い時期から摂ることをおすすめしています。
容量 | 60粒 |
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料金 | 943円(税込) |
形状 | タブレット |
うちの関節サポート
うちの関節サポートは、グルコサミンやコンドロイチンなど関節の健康維持に役立つ成分を配合したサプリメントです。
DHAやEPAも配合されているので免疫力アップが期待できるほか、おやつ感覚で摂れるチキン味になっています。
容量 | 90粒 |
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料金 | 2,536円(税込) |
形状 | タブレット |
ベトキノール ジルケーン
カゼインやマルチデキストリンを配合したべトキノールジルケーンは、ストレスや恐怖を和らげるサプリメントです。
環境やシチュエーションの変化に対応できるよう、短期的にも長期的にも摂ることができます。
容量 | 30粒 |
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料金 | 2,775円(税込) |
形状 | カプセル |
犬用サプリメントの与え方
犬用サプリメントにも目安量(薬で言うところの用法・容量)があるため、パッケージや説明書きに記載されているとおりに与えましょう。
もし持病がある、治療薬を投薬している等の場合は、獣医師に確認を取ることをお忘れなく。
また、犬用サプリメントは形状によって与え方が異なります。たとえばタブレットや錠剤なら、そのまま口に運んだり砕いてフードに入れたりしても良いでしょう。
サプリメントが喉や食道に張り付く可能性もあるため、接種後は水分補給を促します。
犬用サプリメントに関する気になる疑問
最後に、犬用サプリメントに関するよくある疑問についてまとめました。
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犬に人用サプリメントを与えてもいい?
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人間と犬(動物)では生理機能が異なるため、人間にとっては有効でも犬にとって健康に悪影響を及ぼす場合があります。犬には人用のサプリメントを与えないように注意しましょう。
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犬用サプリメントに含まれる添加物は安全?
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サプリメントに使用される添加物は、ペットフードで使用される添加物と同様に安全性と有効性が評価されていることはもちろん、厚生労働大臣が認可者しか使用できないよう定められています(国内産のサプリメントの場合)過度に不安に思う必要はありません。
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犬用サプリメントにも副作用はある?
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犬用サプリメントは医薬品ではないため副作用自体はないものの、サプリメントの過剰摂取によって栄養バランスが崩れると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。目安量を超えないよう、様子を伺いながら与えましょう。
まとめ
犬用サプリメントは、普段の食事では補えない成分や栄養を手軽に補える便利なアイテムです。
その多くは健康維持を目的としたものなので、愛犬の抱える悩みや目的に合わせたサプリメントを取り入れてみましょう。
また、一口にサプリメントと言っても種類や成分、形状などはさまざまです。配合成分はもちろん、年齢や安全性に注目しながら愛犬にぴったりなサプリメントを探してみてください。
宮田和彦
神奈川県で生まれ、北海道の獣医学科を卒業。 1991年から2024年まで動物診療施設を開設。