2025/03/31

老犬の脱水症状|見分け方と対処方法を解説

年齢を重ねた愛犬の健康を守るには、脱水症状の早期発見と適切な対処が欠かせません。

この記事では、老犬の脱水症状の見分け方から応急処置、そして動物病院での治療まで、飼い主が知っておくべき重要な情報をわかりやすく解説します。

 

この記事を読んで分かること

  • 犬が脱水症状を起こしているか、簡単に見分ける方法がわかります。
  • 脱水症状を起こしていた場合の適切な応急処置方法がわかります。
  • 緊急処置を行った後に、どのような対応をしたらいいかがわかります。
  • 脱水症状の再発を防ぐ予防策がわかります。

老犬の脱水症状の見分け方

愛犬の健康を守るためには、脱水症状をできるだけ早く見つけることが重要です。特に老犬は体内の水分調整機能が低下しているため、若い犬に比べて脱水症状を起こしやすくなっています。

老犬の脱水症状を見分ける方法には、主に二つの方法があります。 一つは日常的な観察による方法、もう一つは簡単なテストを行う方法です。

これらの方法を知っておくことで、愛犬の異変にすぐに気づき、適切な対応をとることができます。正確に症状を把握できれば、動物病院での診断や治療もスムーズに進みます。

よく観察する

老犬の脱水症状を早期に発見するには、日常的な観察が欠かせません。まず注目すべきは、水の飲み方の変化です。いつもより水を欲しがったり、のどが乾いている様子が見られる場合は要注意です。

次に排尿の状態にも気を配りましょう。排尿の頻度が減少し、尿の色が濃くなっていたら脱水の可能性があります。

【観察ポイント】

項目 正常な状態 脱水を疑うサイン
飲水量 普段通りの水の摂取 異常に水を欲しがる、または全く飲まない
排尿 通常の頻度と色 排尿頻度の減少、尿の色が濃い
体重 安定している 短期間の急激な減少
元気・食欲 活発で食欲がある 元気がない、食欲不振

参考:犬の脱水症状への対処法とは?原因や注意すべき症状について解説 | 動物病院サプリ

また、体重の急激な減少も重要なサインです。体重が1日で急に減少した場合、脱水してい可能性があります。さらに、元気がなくなり、食欲不振になることもあります。これは脱水により体力が低下し、倦怠感が現れているためです。

愛犬に上記のような症状が見られた場合、体内の水分バランスが崩れているサインかもしれません。これらの症状に気づいたら、次のステップとして具体的なチェック方法を試してみましょう。

皮膚をつまむ

老犬の脱水症状を確認する具体的な方法として、「ツルゴールテスト」があります。このテストは、犬の背中や腰の皮膚を優しくつまみ、皮膚の弾力性を確認することで、脱水の程度を判断することができます。

つまんだ皮膚を離し、皮膚が元の状態に戻るまでの時間を計測することで、どの程度の脱水状態かを把握することが可能です。このテストは簡単ながらも、有効な判断材料になります。

動物看護の記事によると、正常な状態では皮膚は2秒以内に元に戻りますが、2秒以上かかる場合は脱水の疑いがあるとされています。

時間で正常かどうかを判断できるため、以下の表を参照してください。

状態 皮膚が戻るまでの時間 水分バランス 対応
正常 2秒以内 良好 通常の水分補給を継続
軽度脱水の疑い 2〜3秒以内 軽度の脱水の可能性 水分補給を増やし様子を見る。必要であれば医師に相談。
中・重度脱水の疑い 3秒以上 中程度以上の脱水の可能性 すぐに病院に連れて行く。

ただし、注意点があります。老犬は年齢とともに皮膚の弾力が自然に低下しているため、健康な状態でも若い犬に比べて皮膚が戻るのに時間がかかることがあります。そのため、普段の状態を把握しておくことが重要です。愛犬の通常の状態を知っておくことで、異変に気づきやすくなります。このテストと日常的な観察を組み合わせることで、脱水症状をより正確に判断できるでしょう。

老犬が脱水症状に陥った場合の対処方法

老犬が脱水症状を起こしていると判断した場合、迅速な対応が重要です。対処方法は、愛犬が自ら水を飲めるかどうかに大きく左右されます。適切な応急処置を施すことで、動物病院に到着するまでの間、症状の悪化を抑えることができます。

ただし、応急処置はあくまで一時的な対応であり、症状の程度にかかわらず、速やかに獣医師の診察を受けることが不可欠です。特に、脱水は老犬にとって深刻な状態に陥る可能性があるため、迅速な対応が求められます。

以下では、愛犬が自力で水を飲める場合と飲めない場合の応急処置について、詳しく説明します。

水を飲む場合

脱水症状を起こした老犬が自ら水を飲める場合は、適切な水分補給が重要です。まず、新鮮な水を用意しましょう。ただし、一度にたくさんの水を与えると胃に負担がかかり、嘔吐を引き起こす可能性があります。少量ずつ、ゆっくりと与えることが大切です。

また、水だけでなく、動物用の経口補水液も効果的です。これは単なる水よりも効率よく体内の水分と電解質のバランスを整えることができます。動物用の経口補水液が手元にない場合は、ポカリスエットのような人間用のスポーツドリンクを4倍から5倍程度に薄めて与えることも効果的です。

ただし、老犬が自力で水を飲める状態でも、脱水は深刻な問題の兆候である可能性があるため、応急処置の後は必ず動物病院を受診してください。

水を飲まない場合

水症状を起こした老犬が自力で水を飲まない場合は、より慎重な対応が必要です。このような状況では、スポイトを使用して少量ずつ水分を口に入れる方法が効果的です。

スポイトを使用する際のポイントは、愛犬の頬の内側に沿って少量ずつ水分を入れることです。喉に直接水分を入れると、誤嚥(水分が気管に入る)のリスクがあるため、注意が必要です。また、無理に水分を与えようとすると、犬がさらにストレスを感じて状態が悪化する可能性があります。

水を飲まない状態は、脱水がかなり進行している可能性があります。このような状態では、自宅での応急処置には限界があります。スポイトでの水分補給を試みながらも、できるだけ早く動物病院に連れて行くことが最優先です。専門的な点滴治療が必要になる場合が多いため、迅速な対応が愛犬の命を守ることにつながります。

対処をしたらすぐに動物病院へ

脱水症状に対する応急処置を行った後は、症状の軽重にかかわらず、すぐに動物病院へ連れて行くことが最も重要です。獣医師監修の記事によると、脱水は表面的な症状だけでは判断できない深刻な問題を隠している可能性があります。特に老犬の場合、脱水の背景に以下のような重大な病気が潜んでいることも少なくありません。

  • 腎臓病
  • 糖尿病
  • 副腎皮質機能低下症

動物病院に連れて行くと、獣医師が専門的な検査を行い、脱水の原因と程度を正確に診断します。必要に応じて、点滴による水分補給や電解質の調整、さらには根本的な病気の治療が行われます。自宅での応急処置だけでは対応できない場合がほとんどです。

また、病院に連れて行く際には、脱水症状に気づいた時間や症状の変化、応急処置の内容などをメモしておくと、獣医師の診断のときに役立ちます。老犬の健康と命を守るためには、迷わず動物病院を受診することが最善の選択です。

再び脱水症状にならないために

老犬の脱水症状は、適切な予防策を講じることで防ぐことができます。まず最も重要なのは、常に新鮮な水を用意しておくことです。老犬介護施設が執筆した記事によると、水の量を定期的にチェックし、十分な水分が摂取できる環境を整えることが基本となります。 特に暑い季節や運動後は水分が不足しやすいため、より頻繁に水の状態を確認しましょう。

次に、老犬の体調や行動の変化に日頃から注意を払うことが大切です。食欲や活動量、排泄物の状態など、普段と違う点があれば早めに察知できるよう、愛犬の状態をよく観察する習慣をつけましょう。早期発見が重症化を防ぐ鍵になります。

また、季節による対策も重要です。夏場は室内を涼しく保ち、冬場は乾燥に注意が必要です。特に冬は室内の暖房により空気が乾燥し、知らず知らずのうちに脱水が進むことがあります。適切な温度と湿度を保つよう心がけましょう。

定期的な健康診断も予防には欠かせません。年齢を重ねた犬は半年に一度程度の健康診断を受けることで、潜在的な問題を早期に発見できます。

以下に効果的な予防対策をまとめました。

予防対策 実施内容 効果
水分管理 新鮮な水を常に用意・複数箇所に設置 脱水の直接予防
健康観察 食欲・活動量・排泄の変化に注意 早期発見・対応
環境管理 夏は涼しく、冬は適度な湿度を保つ 季節による脱水防止
定期健診 半年に1回の健康診断 潜在的問題の早期発見

これらの予防策を日常的に実践することで、老犬の脱水リスクを大幅に減らすことができるでしょう。

まとめ

老犬の脱水症状は、日常的な観察とツルゴールテストによって見分けることができます。

脱水かもしれないと気づいたら、老犬が自ら水を飲める場合は少量ずつ水分を与え、飲めない場合はスポイトを使用した応急処置が有効です。

しかし、これらの応急処置はあくまで一時的な対応に過ぎません。重要なのは、脱水症状の軽重にかかわらず、必ず動物病院での診察を受けることです。

特に老犬の場合、脱水は単なる水分不足ではなく、より深刻な健康問題のサインであることが少なくありません。専門家による適切な診断と治療が、愛犬の健康と命を守る上で最も重要です。日頃からの予防策として、新鮮な水の提供、定期的な健康チェック、適切な生活環境の維持を心がけましょう。

そして何より、異変に気づいたら「様子を見よう」と判断せず、迷わず動物病院を受診することが大切です。愛犬との大切な時間を守るためにも、脱水症状への正しい知識と対応を身につけておきましょう。