愛犬のおやつとして食パンを与えることを検討されている方も多いのではないでしょうか。
スーパーマーケットやコンビニエンスストアでも手軽に購入でき、保存も簡単な食パンは、犬のおやつとしても活用できます。
しかし、人間の食べ物を犬に与えることに不安を感じる飼い主さんも少なくありません。
「食パンを与えても大丈夫なのか」「適切な量はどのくらいか」「気をつけるべき点はあるのか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
この記事では、犬に食パンを与える際の安全性や適切な量、注意点について詳しく解説していきます。
犬に食パンを与えても大丈夫!
適切な量と与え方を守れば、犬に食パンを与えても問題ありません。プレーンの食パンであれば、特に有害な成分は含まれていないからです。
食パンに含まれる炭水化物は、犬のエネルギー源になります。しかも簡単に入手できるため、手頃なおやつとして活用する方が増えています。
ただし、与えすぎると肥満の原因になるため、適度な量を守ることが重要です。
犬に食パンを与えるメリット
犬に食パンを与えるメリットは、以下の3つが挙げられます。
メリット |
詳細 |
経済的で入手しやすい |
一般的な犬用のおやつよりも安価で入手しやすい |
冷凍して長期間保存できる |
小分けにして冷凍することで、欲しい時に必要な分だけ使える |
柔らかく食べやすい |
高齢の犬や歯の弱い犬でも食べやすい |
食パンは安価で入手しやすく、冷凍保存で使い勝手が良くなります。
エネルギー源になる
運動後のエネルギーを補給するおやつとして便利な食材です。
食パンに含まれる炭水化物は、犬の体内で効率的にエネルギーに変換されます。
ただし、食パンはあくまでも補助的なエネルギー源として考える必要があります。
犬の主食である総合栄養食(ドッグフード)からも十分なエネルギーが摂取できるため、食パンを過剰に与えすぎると、犬の健康を損なう可能性があるからです。
おやつに最適
食パンは、日常的なおやつやご褒美として扱いやすく、経済的です。
専門店で販売している犬用のおやつは、栄養バランスやサイズ感などにこだわっている分、コストがかかるというデメリットがあります。
一方食パンは100円〜200円程度で購入できるので、手軽に入手可能です。
おやつを切らしてしまった時の代用品として使い道があります。
犬に食パンを与える際の適量
犬に与える食パンの適量は、犬のサイズによって異なります。以下の表を目安に与える量を調整してください。
犬の体重 |
1回の適量(8枚切り食パン) |
3kg |
1/5枚程度 |
5kg |
1/4枚程度 |
8kg以上 |
2/5枚程度 |
肥満傾向にある犬や高齢犬の場合は、記載された量よりも少量から始めることをおすすめします。
また、1日のカロリー摂取量の10%を超えないように食べさせるのが重要です。
食パンを食べさせる際の注意点
食パンを犬に与える際には、いくつかの重要な注意点があります。特に意識したいのは以下の3点です。
- アレルギー
- カロリー
- パンの種類
愛犬の持つアレルギー、摂取カロリーの目安、パンに含まれる成分を正しく把握しておかないと、健康を損なう恐れがあります。
アレルギーに注意
犬の中には、食パンの主成分である小麦のアレルギーを持つ子がいます。小麦アレルギーであることを知らずに食パンを与えてしまうと、以下のような症状が出る恐れがあるので、注意が必要です。
- 軟便
- 下痢
- かゆみ
- 皮膚の赤み
- 体重減少
これらの症状が見られた場合は、すぐに食パンの提供を中止してください。
アレルギー反応が心配な場合は、事前に獣医師に相談して、アレルギーテストを受けることをお勧めします。
カロリーに注意
食パン約100gあたりに含まれるエネルギー量は約248kcalです。食パンのカロリーは意外と高く、過剰摂取は肥満の原因となります。
以下の表は体重別に成犬に必要なカロリーをまとめたものです。犬にとって食パンがどれだけ高カロリーなのかがわかるでしょう。
理想体重 |
必要なカロリー量 |
1kg |
126 kcal |
2kg |
234 kcal |
4kg |
342 kcal |
10kg |
666 kcal |
2kg以内の犬の場合、食パンを100g与えただけで、1日に必要なカロリーを満たしてしまいます。
特に室内で飼育している犬は運動量が少ないため、与えるカロリー量には特に注意が必要です。
肥満になると関節への負担が増加し、心臓病や糖尿病のリスクが高まります。
定期的に体重を測定し、増加傾向が見られた場合は、すぐに量を調整しましょう。
基本はプレーン食パン
犬に与える食パンは、必ずプレーンのものを選びましょう。菓子パンや惣菜パンには、犬にとって有毒な成分が含まれている可能性があるからです。
以下の表に、避けるべきパンの種類とその理由をまとめました。
食パンの種類 |
避けるべき理由 |
菓子パン |
砂糖が多く含まれ、歯周病や肥満の原因となる |
惣菜パン |
調味料や香辛料、犬に有毒なタマネギ類が含まれている可能性がある |
レーズンパン |
レーズンは中毒症状を起こす可能性がある |
ロールパン |
油分が多く、過剰摂取で下痢の可能性が高まる |
食パンの中でも、保存料や着色料が含まれていないものを選べたら理想的です。
犬にNGな食材がある
犬にパンを与える際には、含まれる食材や調味料に十分な注意が必要です。以下のように、人間が当たり前のように摂取していても、犬にとっては命に関わる危険な食材が存在します。
犬に食べさせてはいけない食材 |
・チョコレート ・レーズン(ぶどう) ・ネギ科植物(玉ねぎ・長ネギ・ニンニクなど) |
特に市販の惣菜パンには、犬にとって危険な食材が含まれている可能性が高めです。チョココロネやレーズンパン、カレーパン(玉ねぎ)などは絶対に与えてはいけません。
たとえ少量でも、これらの食材が含まれている可能性のあるパンは絶対に与えないようにしましょう。
チョコレート
チョコレートがNGな理由は、テオブロミンという犬にとって有毒な成分が含まれているからです。
人間にとってのテオブロミンはリラックス効果やダイエット効果をもたらしますが、犬が摂取することで、以下のような症状が出る恐れがあります。
初期症状 |
下痢 嘔吐 失禁 |
深刻化した症状 |
ふるえ 痙攣 |
注意しなければならないのは、中毒症状が現れるまで時間がかかる点です。
チョコレートを食べた後、数時間から半日ほど経過してから症状が現れます。
上記のような症状が見られたら、すぐに動物病院を訪れましょう。
レーズン(ぶどう)
レーズン(ぶどう)は犬の健康状態を損なう危険性のある食材です。
ぶどうの果汁が入ったジュースも注意が必要な食材に数えられます。
犬がぶどうを摂取することで現れる主な症状は以下の通りです。
初期症状 |
下痢 食欲不振 嘔吐 |
深刻化した症状 |
急性腎不全 尿毒症 |
レーズンパンやぶどうパンはもちろん、パン生地にぶどう果汁が練り込まれているものも避ける必要があります。
特に菓子パンには、レーズンが含まれていることが多いため、注意が必要です。
玉ねぎ・長ネギ・ニンニクなどのネギ科植物
玉ねぎ、長ネギ、ニンニク、ニラ、わけぎといったネギ科植物には、「アリルプロピルジスルフィド」が含まれています。加熱しても毒性は失われません。
アリルプロピルジスルフィドによって犬の赤血球が破壊され、貧血を引き起こす恐れがあります。
貧血が重度になると死亡してしまうケースも確認されているため、絶対に与えてはなりません。
何が入っているかわからない惣菜パンを食べさせるのはNGです。
犬がNG食材を食べてしまった時の対処法
万が一、犬が危険な食材の入ったパンを食べてしまった場合は、冷静かつ迅速な対応が必要です。
まず、食べた量と時間を可能な限り正確に記録してください。獣医師による適切な治療方針の決定に重要な情報となります。
その後、動物病院に連れて行き、吐かせる処置を行います。
危険を伴う行為なので、飼い主自身が行うべきではありません。
夜間や休日の場合に備えて、24時間対応の動物病院の連絡先は事前に確認しておき、スマートフォンなどに保存しておきましょう。
まとめ
以下の表に、犬に食パンを与える際の重要なポイントをまとめました。
原則 |
具体的な実践方法 |
量を守る |
体重に応じた適量を守り、1日の総カロリーの10%以内に抑える |
種類を選ぶ |
必ずプレーンの食パンを選び、調理パンや菓子パンは避ける |
様子を観察 |
特に初めて与える際は少量から始め、アレルギー反応に注意する |
これらの原則を守ることで、食パンを安全なおやつとして活用できます。
ただし、犬の体調や年齢、既往歴によっては食パンが適さない場合もあります。心配な点がある場合は、必ず獣医師に相談してから与えるようにしましょう。
安全に食パンを与えることができれば、愛犬にとって楽しみなおやつの一つとなります。
この記事で紹介した注意点を守り、愛犬とのより良い関係づくりに活用していただければ幸いです。
不安な点がある場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。