2024/12/20

犬に豆乳を与えても大丈夫?豆乳のメリットや適量・注意点を解説

最近、ペットの健康に対する関心が高まり、犬に豆乳を与えることを検討される飼い主さんが増えています。豆乳には、良質なタンパク質やミネラルが豊富に含まれており、犬の健康維持にも繋がるからです。

 

しかし、種類や与え方によっては危険な場合もあるため、正しい知識を持つことが重要です。

 

この記事では、犬に豆乳を与える際の安全性やメリット、適切な与え方について、獣医師の見解も交えながら詳しく解説していきます。

犬に豆乳を与えても大丈夫?

基本的に、豆乳は犬に与えても問題ありません。

ただし、豆乳の種類や与える分量によっては、健康を害する可能性があります。

豆乳には以下の3種類があり、犬にとってNGなものがあるのです。

OKな豆乳

無調整豆乳

NGな豆乳

調整豆乳

豆乳飲料

犬へ与える前に、必ず種類を確認しておきましょう。

 無調整豆乳であれば問題ない

無調整豆乳は、大豆と水のみで作られているため、犬にとって安全な飲み物といえます。

無調整豆乳を見分けるポイントは以下の2つです。

  • 大豆固形分8%以上
  • 原材料表示に「大豆(遺伝子組み換えでない)」のみが記載されている

市販の豆乳を選ぶ際は、パッケージに「無調整」という表記があることを確認してください。

犬に豆乳を与える場合は、シンプルな原材料で作られた無調整豆乳を選ぶのが重要です。

 調整豆乳と豆乳飲料には注意が必要

調整豆乳と豆乳飲料は、犬に与える際に特に注意が必要です。様々な添加物が含まれており、犬の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

以下の表に、それぞれの特徴と注意点をまとめました。

種類

添加物

見分け方

調整豆乳

大豆、食用植物油脂、調味料など

大豆固形分6%以上

豆乳飲料

大豆、食用植物油脂、調味料、風味原料、香辛料など

「〇〇味」などの表記
果汁入り
大豆固形分4%以上
果汁入り大豆固形分2%以上

特に豆乳飲料は、糖分が多く含まれているため、肥満や歯の健康に影響を及ぼす恐れがあります。

安全性を考慮すると、これらの豆乳は避けるのがお勧めです。

 犬に豆乳を与えるメリット

豆乳には、犬の健康維持に役立つ様々なメリットがあります。

主なメリットは以下の通りです。

豆乳のメリット

詳細

良質なタンパク質補給

筋肉の維持・発達をサポート

皮膚や被毛の健康維持に貢献

低脂肪・低カロリー

健康的な体重管理に適している

高齢犬の栄養補給に最適

豊富な栄養素

カルシウムやマグネシウムなどのミネラル補給

抗酸化作用による健康維持

消化吸収の良さ

胃腸への負担が少ない

アレルギーの少ない代替タンパク源

ドッグフードや水だけでは得づらい、独自の栄養バランスが含まれています。

 【必見】豆乳に含まれる栄養素と効果

豆乳には、犬の健康維持に重要な栄養素が豊富に含まれています。

以下の表に栄養素と主な役割をまとめました。

栄養素/成分

主な役割

タンパク質

筋肉の維持

カルシウム

骨格形成・歯の強化

カリウム

細胞を正常に保つ

マグネシウム

酵素の活性化

大豆イソフラボン

免疫力向上に役立つ

これらの栄養素は、犬の成長や健康維持に不可欠な役割を果たします。

以下では、豆乳に含まれる主要な栄養素とその効果について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

 犬に必要不可欠な栄養素「タンパク質」

豆乳に含まれるタンパク質は、犬の健康維持に極めて重要な役割を果たします。

豆乳のタンパク質は、肉類と比較して消化吸収が穏やかで、胃腸への負担が少ない点がメリットです。

特に高齢犬や消化器系が敏感な犬にとって、理想的なタンパク質源となります。

タンパク質は犬の成長、体組織の修復、免疫系の維持など、健康維持に重要な役割をもつ成分です。

 骨格を丈夫にするカルシウム

豆乳に含まれるカルシウムは、犬の骨格形成と維持に重要な役割を果たします。

期待される効果は以下の通りです。

効果

詳細

骨の形成と維持

骨密度の向上

骨折予防

関節の健康維持

歯の健康維持

歯の強度向上

歯周病予防

エナメル質の保護

特に成長期の子犬や高齢犬、妊娠中・授乳中の母犬にとって、カルシウムの適切な摂取は非常に重要です。

上記のような犬にとって、豆乳は効果的なカルシウムの補給源になりえます。

 細胞を正常に保つカリウム

豆乳に含まれるカリウムは、筋肉の正常な働きを維持するために欠かせない栄養素です。

犬の体内で、以下のような重要な役割を果たします。

機能

効果

筋肉機能

筋肉の収縮をサポート

神経伝達

神経信号の伝達を促進

心臓機能

心筋の収縮を調整

カリウムはナトリウムと結び付いて、細胞の正常化、浸透圧の調整といった重要な役割も担うので、豆乳でカリウムを効果的に摂取できます。

 酵素を活性化するマグネシウム

豆乳に含まれるマグネシウムは、犬の体内で酵素の活性化に関与する重要なミネラルです。

他にも、以下のようなメリットがあります。

  • 健康な骨の成長を促す
  • 血圧・体温の調整
  • 神経伝達

特に高齢犬では、マグネシウムの吸収率が低下する傾向にあるため、豆乳による補給は効果的です。

日常的な摂取により、筋力の維持や疲労回復の促進が期待できます。

 免疫力向上に役立つ大豆イソフラボン

豆乳に含まれる大豆イソフラボンは、犬の免疫システムを強化する重要な栄養成分です。

豆乳を通じて大豆イソフラボンを犬に与えることで、以下のような効果があります。

効果

詳細

抗酸化作用

細胞を酸化ストレスから保護

免疫力向上

病気・感染症予防

血流改善

健康促進

特にアレルギー体質の犬や、免疫力が低下しがちな高齢犬にとって効果的です。

 犬に豆乳を与える際の適量

豆乳の適切な量は、犬のサイズや年齢によって異なります。

以下の表を参考に、適量を守って与えることが重要です。

体重

推奨摂取量(体重1kgあたり)

3kg

10〜30ml/日

5kg

40〜60ml/日

10kg

70〜90ml/日

参考:ブッチ・ジャパン

なお、豆乳を与える際は、以下4つのポイントを意識しましょう。

  • 初めて与える場合は、上記の様子見量から始める
  • 体調を観察しながら、徐々に量を増やしていく
  • 高齢犬や子犬は、2倍程度に薄めてから飲ませる
  • 常温またはレンジで人肌程度に温めてから与える

上記の量はあくまで目安であり、犬の健康状態や活動量によって調整が必要な場合があります。特に持病のある犬については、獣医師に相談の上、適量を決定するのがお勧めです。

 犬に豆乳を与える場合の注意点

豆乳を与える際は、注意すべきポイントが3つあります。

  • 大豆アレルギー
  • 心臓や腎臓に負担がかかる
  • ストルバイト結石症

これらのポイントを把握しておかないと、愛犬の健康を損なう可能性があるので注意が必要です。

 大豆アレルギー

犬の大豆アレルギーは、見過ごすと重症化する可能性があるため、早期発見が重要です。

以下に、アレルギー症状の例を羅列します。

  • 皮膚の痒み
  • 嘔吐・下痢
  • 喘息
  • 元気がない
  • 目の充血

 

これらの症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診しましょう。

また、愛犬がどのアレルギーを持っているのかわからず不安な方は、豆乳を与える前に動物病院で検査を受けることを推奨します。

 

 心臓や腎臓に問題がある犬には要注意

豆乳は、心臓病や腎臓病を抱える犬には、与えない方が良い場合があります。

豆乳にはリンが含まれており、これらの成分を過剰に摂取してしまうと、心臓病・腎臓病を悪化させてしまうからです。

心臓病の犬に関しては、食事で得られるリンを0.2〜0.7%に制限することが望ましいとされています。

持病を持っている犬だけでなく、高齢犬に与える場合も同様、臓器に負担をかけてしまう可能性があるので注意しましょう。

 

 ストルバイト結石症

ストルバイト結石症は、豆乳に含まれるミネラルの影響で悪化する可能性がある疾患です。

マグネシウム、カルシウム、リンなどの過剰摂取によって発症しやすくなります。

 

  • ストルバイト結石症の症例は以下の通りです。
  • 結石が生じることで、尿路が詰まり尿が出せなくなる
  • 炎症が起こり痛みが生じるといった
  • 尿毒症や膀胱破裂などの重い病気に発展する

 

ストルバイト結石症は重症化すると寿命にも関わってくるため、愛犬が陰部を気にして舐めるようになったら、動物病院を受診しましょう。

 

 まとめ

ここまで犬に豆乳を与えるメリットや注意点を解説してきました。

豆乳を犬に与える際の重要なポイントを以下にまとめます。

ポイント

詳細

安全に豆乳を飲ませる

無調整豆乳を選択する

適量を守る

段階的に始める

期待できる健康効果

良質なタンパク質補給

免疫力の向上

骨格の強化

抗酸化作用

注意すべき事項

アレルギーの有無を確認

持病がある場合は獣医師に相談

体調変化の観察

上記のポイントを意識して、愛犬の健康維持に活用しましょう。豆乳は、正しく与えることができれば犬の健康促進に繋がります。

賢く活用して、愛犬の健康促進を図りましょう。