2024/12/20

犬におすすめの野菜とは?野菜を与えるメリット・デメリットと注意点を解説

犬に野菜を与えることをお考えの飼い主さんも多いのではないでしょうか。実は、適切な野菜の選び方と与え方を知ることで、愛犬の健康維持に大きく貢献することができます。しかし、すべての野菜が犬に適しているわけではなく、中には危険なものも存在します。
本記事では、犬に安心して与えられる野菜とその効果、与える際の注意点、そして避けるべき野菜について詳しく解説します。愛犬により良い食生活を提供するための正しい知識を、順を追って説明していきます。

 おすすめの野菜

犬に野菜を与えることは、バランスの取れた食事を実現する上で重要な選択肢となります。ここでは、犬に安全で栄養価の高い野菜を紹介します。

おすすめの野菜

主なメリット

さつまいも

便通改善

キャベツ

腸内環境の改善

カボチャ

免疫力向上

ニンジン

老化防止

アスパラガス

筋肉の維持

トマト

生活習慣病の予防

人間同様、犬も野菜を摂取することで健康が促進されるのです。

どの野菜が犬にとって有益なのか見ていきましょう。

 便通を良くしてくれるさつまいも

さつまいもは、食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整える働きがあります。また、さつまいもに含まれるβカロテンは、犬の皮膚や粘膜の健康維持にも効果があります。

与える際は、必ず加熱して柔らかくし、皮は取り除いてから小さく切り分けて与えましょう。

生のさつまいもには、デンプンが多く含まれているため消化が悪く、腹痛の原因となる可能性があるため、必ず加熱調理してください。

 食物繊維豊富なキャベツ

キャベツは、食物繊維が豊富な野菜です。特に水溶性食物繊維は、腸内細菌のエサとなり、腸内環境を改善する効果があります。

さらに、ビタミンCやビタミンK、カリウムなども含まれており、総合的な栄養補給に適しています。

キャベツの与え方としておすすめなのは、以下の2つです。

  • 生のキャベツを細かく刻む
  • 茹でてスープごと与える

生キャベツを犬に与える際は、犬の消化を助けるために細かく刻んでから食べさせるのがお勧めです。犬は食物繊維の消化が苦手なため、キャベツを細かく刻むことで消化しやすくなります。

また、キャベツに含まれる栄養素をくまなく与えたい場合は、茹でてスープごと与えるのがお勧めです。

キャベツは加熱することで消化しやすくなりますが、栄養素が溶け出てしまいます。

茹でてスープにすることで、溶け出た栄養素をもれなく犬に与えられるため、加熱する場合はスープとして与えることを推奨します。

 抗酸化作用のあるカボチャ

カボチャに含まれる抗酸化物質は、体内の活性酸素を除去し、細胞の酸化を防ぐため、老化防止や免疫力が向上し、愛犬の長く元気な姿を見れる可能性が高まります。

そもそも、抗酸化物質とは?

抗酸化物質は、体内で発生する活性酸素から細胞を守る働きを持つ物質です。活性酸素は体内の酸化を促進し、細胞を傷つけることで老化や様々な病気の原因となります。
抗酸化物質には、ビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、カロテノイドなどがあり、そのような成分を含む食品を適切に摂取することで、健康維持や老化防止、疾病予防に役立てることができます。

ただし、カボチャを与える際は、以下2つのポイントに注意が必要です。

  • 皮と種を取り除いてから与える
  • しっかり加熱して柔らかくしてから与える

カボチャの皮と種は非常に硬いため、消化しきれず胃腸の中に遺物として残り続ける可能性があります。美味しく食べてもらうためにも、必ず取り除いてから与えましょう。

 

なお、食物繊維を多く含むカボチャは、生のままで食べさせると消化に悪いので、しっかり加熱して柔らかくしてから与えるのがお勧めです。

 酸化を防ぐニンジン

ニンジンは、β-カロテンを豊富に含み、強い抗酸化作用を持つ野菜です。この抗酸化作用は、体内の細胞を酸化から守り、老化を防ぐ効果があります。

また、食物繊維も豊富で、腸内環境の改善にも役立ちます。

生のニンジンを与えると、食物繊維の影響で消化不良を起こす可能性があるため、必ず加熱調理してから与えましょう。茹でるか蒸して柔らかくし、一口大に切って与えるのがお勧めです。

 タンパク質を取れるアスパラガス

アスパラガスは、植物性タンパク質を含む優れた野菜です。タンパク質は犬の筋肉維持や細胞の修復に重要な栄養素です。また、その他にも食物繊維やビタミンB群、葉酸も豊富に含まれており、総合的な栄養補給に適しています。

     与える際は、必ず茹でて柔らかくし、細かく切り分けてから与えましょう。 

生のアスパラガスはわずかながら「アルカロイド」という中毒性物質が含まれています。アルカロイドは熱に弱いので、加熱してから与えることで安全に食べさせることができます。

また、アスパラガスを食べたことがある方は経験があると思いますが、根元の部分が非常に硬く、食べづらい点がネックです。

根元部分はピーラーで皮を剥き、細かく切り分けて食べやすくしてから与えることをお勧めします。

 生活習慣病を予防するトマト

トマトには、リコピンやβ-カロテン、ビタミンCなどの抗酸化物質が豊富に含まれており、犬の生活習慣病予防に効果的です。リコピンには、がんや心臓病のリスクを低減させる効果もあります。

犬にトマトを与える際は、以下2つのポイントに注意しましょう。

  • 完熟したものを与える
  • ヘタは必ず取り除く

青い部分が残っている未成熟のトマトや、ヘタ・茎・葉には有害な成分「トマチン」が含まれています。

トマチンは犬の赤血球を破壊したり、下痢、嘔吐といった症状が出る可能性があるため、注意が必要です。

食べさせる際は、必ず完熟した実の部分のみを与えてください。

 犬に野菜を食べさせるメリット

犬に野菜を与えると、以下のような健康上のメリットがあります。

メリット

詳細

食物繊維

腸内環境が改善され、便通が良くなる

低カロリー

肥満防止

栄養素が豊富

免疫力アップ

抗酸化作用

老化防止・生活習慣病の予防

適度な硬さ

歯の健康維持

これらのメリットを最大限に活かすためには、適切な量と調理方法で与えることが重要です。

ドッグフードと組み合わせることで、より栄養バランスの取れた食事となります。

 犬に野菜を食べさせるデメリット

野菜を与える際には、以下のようなデメリットがあります。

デメリット

詳細

与えすぎによる肥満・栄養バランスの崩れ

低カロリーとはいえ、与えすぎると栄養過多になってしまう。

下痢や腹痛の原因になる

犬は食物繊維を多く含む野菜を消化するのが苦手。

稀に有毒成分が含まれている

アスパラガスのアルカロイド、トマトのトマリンなど、野菜によって要注意成分を把握する必要がある。

犬に野菜を食べさせる場合、適量や正しい与え方を把握するのが重要です。

正しい知識のもとに野菜を与えることができれば、豊富な栄養素が犬の健康を促進してくれます。

 犬に野菜を与える際の注意点

野菜を愛犬に与える際は、「与えすぎないこと」と「食べさせてはいけない野菜があること」の2点を注意するのが重要です。

何故なら、野菜の与えすぎは栄養過多・肥満の原因になり、食べさせてはいけない野菜を犬が口にしてしまうと、有毒成分に蝕まれるリスクがあるからです。

 与えすぎに注意

野菜の与えすぎは、肥満をはじめとする様々な健康問題を引き起こす可能性があります。

これらの症状を防ぐためには、一回の給与量を守り、愛犬の体調を注意深く観察することが大切です。

 

犬種や年齢、体重によって異なりますが、一般的には1日の食事量の5%〜10%程度が目安となります。

野菜を与えた分、メインで与える飼料の量を減らすことで、カロリーオーバー防止に繋がります。

また、いきなり1日の食事の10%を野菜に置き換えると犬の体調に急激な変化が生じる可能性があるため、少しずつ野菜を与え始めて、量を調整していくのがお勧めです。

 犬に食べさせてはいけない野菜

以下に挙げる野菜は犬に食べさせてはいけません。犬にとって有毒な成分が含まれており、健康を損なう恐れがあります。

  • ネギ科の野菜(ネギ・ニラ・ニンニクなど)
  • アボカド
  • 銀杏
  • とろろ(山芋・長芋など)
  • 香辛料(唐辛子・山椒・わさびなど)

 ネギ科の野菜(ネギ・ニラ・ニンニクなど)

ネギ科の野菜は、犬にとって非常に危険な食材です。これらの野菜に含まれる有機化合物は、犬の赤血球を破壊し、重度の貧血を引き起こす可能性があります。

誤って摂取した場合の主な症状には、以下の4つが挙げられます。

  • 元気消失
  • 食欲不振
  • 粘膜の蒼白化
  • 尿の色の変化

これらの症状が見られた場合は、すぐに獣医師による診察を受けることが重要です。

 アボカド

アボカドには、犬にとってペルシンという有毒な成分が含まれているため、与えるのはやめましょう。またペルシンは、果肉だけでなく、種子や皮、葉にも含まれており、摂取すると重篤な症状を引き起こす可能性があります。

以下は、主な症状として挙げられるものです。

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 呼吸困難
  • 不整脈

特に注意が必要なのは、アボカドの種子を誤飲した場合で、消化しきれずに、腸閉塞を起こす危険性があります。アボカドを料理に使用する際は、犬の足が届かない場所で調理し、確実に処分することが重要です。

 銀杏

犬が銀杏を摂取すると、痙攣や意識障害など、深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

銀杏にはメトキシピリドキシンという有毒成分が含まれており、この成分は熱に強く、加熱しても毒性を消し去ることはできません。

銀杏の実や落ち葉がある場所での散歩時には、愛犬が口にしないよう注意深く観察することが大切です。

万が一愛犬が銀杏を食べてしまった場合は、速やかに動物病院を受診するようにしましょう。

 とろろ(山芋・長芋)

とろろは程よく与える分には問題ありませんが、過剰摂取させると尿路結石の原因となり、危険です。

以下に、犬が食べても良い山芋の量の目安(1日あたり)をまとめました。目安の量を超えないように注意しましょう。

体重

1日の摂取目安量

5kg

21.5〜43g

10kg

52.9〜105.8g

20kg

88.9〜177g

30kg

71.7〜143g

引用:ペットショップ犬の里&猫の里

また、とろろは食べ過ぎ以外にも、犬の皮膚に付けたまま放置するのも危険です。

とろろに含まれるシュウ酸カルシウムは、皮膚に付くと痒みの原因になります。

犬にとろろを与える際は、スプーンに乗せて口に直接運ぶのがお勧めです。

 香辛料(唐辛子・山椒・わさびなど)

唐辛子・山椒・わさびなどの香辛料は、犬の消化器系に強い刺激を与えてしまいます。

万が一犬が摂取した場合、以下のような症状を引き起こす恐れがあるからです。

  • 激しい嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 食欲不振

これらの症状が見られた場合は、すぐに獣医師の診察を受けることが重要です。

 まとめ

野菜は、適切な方法で愛犬に与えることができれば、健康維持に役立ちます。いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

まず、野菜はドッグフードの補助的な食材として位置づけ、全体の食事量の一部に抑えるのが大切です。

また、必ず適切な下処理と調理を行い、愛犬が消化しやすい状態にすることも重要になります。

新しい野菜を与える際は、少量から始めて様子を見ながら量を調整していくことをおすすめします。

同時に、与えてはいけない野菜についても正しく理解し、誤食を防ぐ工夫が必要でしょう。常に愛犬の体調を注意深く観察し、異常が見られた場合はすぐに対応できる準備をしておくことも大切です。

これらの注意点を意識しながら、愛犬の健康状態や年齢に合わせて適切な野菜を選んでいくことで、より健康的な食生活が実現できるかもしれません。野菜の与え方について不安がある場合は、獣医師に相談することをおすすめします。