2024/09/11

犬の血尿の色や原因は?茶色や血の塊などの症状や繰り返す場合の対処法も

愛犬が赤いおしっこをしたとき、思わず驚く飼い主さんは少なくないでしょう。
赤いおしっこの正体は、尿に血液が含まれた血尿の場合がほとんどです。血尿の原因はさまざまで、なかにはオス・メス特有の病気が潜んでいる可能性もあります。
本記事では、犬が血尿がある場合の受診の目安や症状、血尿で考えられる病気や対処法などについてご紹介します。

犬に血尿がある場合の病院受診の目安は?元気があるなら大丈夫?

血尿が見られた場合、以下の様子なら病院を受診しましょう。

  • 突然血尿を排泄した場合
  • 血尿が続く場合
  • 血尿以外の症状が見られる場合

健康だったにも関わらず突然血尿を排泄した場合は、感染症や外傷、急性の病気が原因であると考えられます。

そして血尿が続く、また繰り返し発生する場合は、慢性的な疾患や腫瘍、結石などの深刻な病気が潜んでいる可能性が高いです。

血尿以外にも食欲不振や元気がない、頻尿、排泄時の苦しみ、尿の悪臭、発熱、震え、嘔吐や下痢などの症状が見られた場合は緊急性が高い症状だと言えます。すぐに病院を受診しましょう。

血尿が軽微なものであれば命に関わる可能性は低いですが、重篤な病気やケガの可能性を示していることもあります。基本的には、血尿が見られた場合病院へ受診するようにしましょう。

茶色や血の塊など!犬の血尿の症状や色は?

血尿は出血している部位や程度によって、次のように色合いが変わります。

  • 赤色
  • 赤褐色
  • オレンジ色
  • ピンク色

出血している部位が尿道口から近いと赤色をした血尿を排泄しますが、腎臓などのように尿道口から距離がある場所で出血を起こすと、赤黒い血尿が確認されることがあります。

受診の際は、医師に血尿の色を伝えておくことで治療の判断材料として役立てることができるでしょう。

犬の血尿で考えられる原因や病気

犬の血尿で考えられる原因や病気には、以下のようなものが挙げられます。

  • 膀胱炎
  • 尿路結石症
  • 膀胱の腫瘍
  • レプトスピラ症
  • 急性腎不全 など

このほかにも、オス・メス特有の病気が原因で血尿を起こすこともあります。では、血尿を起こす原因や考えられる病気についてくわしく解説します。

膀胱炎

オスよりもメスの犬に多く見られる膀胱炎は、細菌感染やストレス、外傷などが原因で発症する病気です。血尿や頻尿、排尿困難などの症状が見られるものの、元気や食欲があるのが特徴です。

細菌感染の場合は、2〜3週間ほど抗生物質や消炎剤の投与を行い治療します。膀胱炎を放置すれば非常に危険な状態に陥る可能性もあるので、少しでも異変を感じたら病院を受診しましょう。

尿路結石症

メスに多く見られる尿路結石症は、細菌感染や食生活の乱れ、ストレスなどが原因で発症する病気です。また尿路結石症は、ミニチュアシュナウザーやシーズーなどの特定の犬種にも多く見られます。

症状としては尿路以外にも頻尿や排尿痛などが見られ、一般的な膀胱炎と変わりありません。しかし、尿路結石症により尿道閉塞を起こすと重症化する恐れがあるので注意が必要です。

治療の前にはレントゲン検査や超音波検査で結石の有無を確認し、食事療法や止血剤の投与による治療、場合によって結石を取り除く手術を行います。

膀胱にできる腫瘍

メスの高齢犬に多く見られるのが膀胱にできる腫瘍です。そのほとんどが移行上皮癌と呼ばれる悪性の腫瘍で、血尿以外にも頻尿や排尿困難などの症状が見られます。

一般的な膀胱炎の症状とほとんど同じなので、膀胱炎の治療により症状が一時的に良くなる場合もあります。それだけに、膀胱腫瘍だと気づかずに治療が遅れる可能性も高いです。症状が進行するとリンパ節や肺に転移し、尿路が塞がれて急性腎不全を起こすリスクがあります。

レプトスピラ症

レプトスピラ症は、レプトスピラという細菌感染により発症する病気です。血尿以外にも発熱や黄疸などの症状を引き起こし、急速に進行して命を落とす危険性もあります。

レプトスピラ症はワクチン接種で予防可能です。発症を抑えるためにも、元気なうちにワクチン接種を検討しましょう。

急性腎不全

急性腎不全は、膀胱腫瘍や心疾患、薬や貴金属などによる中毒や尿路結石症での尿路の閉塞などが原因で発症する病気です。血尿だけではなく、元気がなかったり食欲がなかったり、嘔吐や尿の減少が見られる場合は急性腎不全の可能性があります。

急性腎不全は命に関わるリスクがあるので、早期発見・早期治療に努めましょう。

犬の血尿はオスやメス特有の原因も

犬の血尿は、性別特有の原因で発症するケースも多いです。ここで、オス・メスそれぞれに起こり得る血尿の原因についてくわしく解説します。

オス特有の血尿の原因

オスだけに存在する前立腺の病気も、血尿を引き起こす場合があります。前立腺に関わる病気には、以下の病気が挙げられます。

  • 前立腺肥大
  • 前立腺炎
  • 前立腺腫瘍

前立腺肥大は、加齢によりホルモンバランスが崩れることで起こる病気です。血尿や排便困難などの症状が見られますが、前立腺が肥大化して尿道が塞がると、尿の排泄ができなくなり、重症化するリスクがあります。前立腺肥大には、去勢手術やホルモン剤の投与で治療が行われます。

前立腺炎は、細菌感染により血尿や膿が混じった白っぽい尿が出る病気です。抗生物質の投与で治療を行いますが、再発を防ぐために去勢手術を行うケースもあります。

前立腺腫瘍は、高齢によく見られる病気でそのほとんどが悪性であると言われています。血尿の他にも、血便や食欲減少、体重減少などの症状が見られ、進行すると骨に転移して歩行異常が見られるようになる緊急性の高い病気です。

前立腺腫瘍に明確な原因も予防方法もありませんが、異常が見られたらすぐに病院を受診しましょう。

メス特有の血尿の原因

メスの犬にだけ見られる血尿には、感染症や生殖器の病気が関係することが多いです。考えられる病気としては、以下の病気が挙げられます。

  • 膣炎
  • 子宮内膜炎

膣炎は、排尿部位である膣の内部が炎症を起こすことで出血を起こす病気です。細菌感染やウイルス、腫瘍性のものが多いです。

子宮内膜症はホルモンバランスの乱れにより、子宮の免疫力が低下したり、子宮内膜が飛行化して細菌感染を起こしたりする病気です。避妊手術を行うことでほぼ100%予防できると言われています。

犬の血尿と間違えやすい症状や病気もチェック

見た目は血尿とそっくりでも「発情出血」や「血色素尿」のように別のトラブルで血尿のようなものが排泄されるケースもあります。見分けがつきにくくても、詳しく検査をすれば鑑別することが可能です。

メスなら発情出血の場合も

避妊手術をしていないメスの犬は、発情により血尿を排泄することがあります。これは陰部の出血で尿に血液が混ざる状態であり、心配する症状ではありません。一定期間を過ぎると、尿に血液が混ざることもなくなります。

また発情出血から1〜2ヶ月で発症する子宮蓄膿症も、血尿に似た症状が現れます。子宮蓄膿症の場合、血の塊が混ざった膿が陰部から出てくるため、血尿と見間違えるケースが少なくありません。

子宮蓄膿症は命にかかわる緊急性の高い病気です。血尿のようなものを排泄する、嘔吐や食欲不振、元気がない、多飲多尿などの症状が見られた場合はすぐに病院を受診しましょう。

血色素尿

ネギ類などの誤食により中毒を引き起こすと、血尿のように赤やピンク、場合によって茶褐色の尿を排泄することがあります。これは、血液中の赤血球が破壊されたことにより、赤色の色素(血色素)が尿に混ざることが原因です。

犬のネギ中毒は重症化のリスクが高いので、くれぐれも誤食しないよう注意しましょう。

様子見でもいい?犬に血尿があるときの対処法

犬の血尿に対する対処法や治療法は、原因によってさまざまです。適切な処置を行うためにも、血尿が見られれば動物病院を受診するようにしましょう

また出血している部位によって血尿の色が変わるため、受診の際は血尿の色や状態、症状を記録しておくと受診の際に役立ちます。写真に収めたり、血尿が付着したペットシーツを持参するのも良い方法と言えるでしょう。

病院では、尿検査を行って血尿の性状を確認します。場合によっては尿培養を勧められたり、血液検査やX線検査を行ったりすることもあるでしょう。

急死することはある?犬の血尿に関する疑問を解決して不安を解消しよう

最後に、犬の血尿に関するよくある疑問をまとめました。

高齢だと血尿が起きやすい?

若い犬に比べると血尿が起きやすいと言えます。高齢犬特有の健康状態や疾患によって、血尿が排泄されることがあるからです。

たとえば高齢犬は尿結石が起きやすいため、尿道を傷つけたり排尿を妨げたりすることがあります。また加齢により腫瘍のリスクを伴うため、腫瘍からの出血で血尿が起こることもあります。

もちろん、加齢だけが原因でないこともあるのですみやかに病院を受診することをおすすめします。

犬の血尿は急死することはある?

一般的には血尿から急死するケースはありませんが、基礎疾患を抱えている犬は命のリスクを伴います。放置すると症状の悪化や命を落とすリスクが高くなるため、血尿が見られた場合は病院を受診しましょう。

特に、血尿以外の症状(食欲不振、嘔吐など)が見られる場合や大量の血尿が出る場合は緊急性が高いと判断してよいでしょう。

ストレスが原因で血尿が起きることはある?

ストレスにより免疫力が低下すると、尿路感染症や尿結石症を引き起こして血尿を排泄するケースがあります。

ストレス自体が血尿を引き起こすわけではないものの、ストレスがきっかけでさまざまな不調を招くので注意が必要です。

血尿がすぐ治まったら病院に行かなくていい?

血尿がすぐにおさまった場合は緊急性が低いように見受けられますが、基本的には病院で診てもらうことをおすすめします。血尿は、何かしらの病気を発症しているサインでもあるからです。

わんちゃんの健康を守るためにも、早期発見・早期治療を心がけましょう。

血尿のほかに嘔吐があるときの原因は?

尿路感染症や腎不全が原因で、血尿と嘔吐が同時に発生するケースがあります。いずれの場合も元気をなくすなどの全身症状が見られることが多く、重症化のリスクもあるので注意しなくてはいけません。