2024/09/11

犬がネバネバした白い泡を吐く原因は?食後やストレス?対処法を解説

愛犬がネバネバした白い泡を吐いて、思わず驚いてしまった飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。
言葉を発せない犬にとって、嘔吐は体が発するSOSのサインでもあります。そこで本記事では、白い泡の正体やその原因、病院を受診する目安などについて解説します。

犬が吐くネバネバした白い泡の正体は「胃液と唾液」のことが多い

犬が吐くネバネバした白い泡は、胃液や唾液が混ざったものです。これは一種の生理現象とも言えるので、心配することはありません。

しかし、ネバネバした白い泡を吐くと同時に下痢や震えがある場合、またぐったりしている場合、1日に何度も白い泡を吐く場合などは病気の可能性も考えられます。ネバネバした白い泡を吐く以外にも普段と違う様子が見られたら、早めに病院を受診しましょう。

空腹や食後ならストレスも!犬が白い泡やネバネバの液体を吐く原因

犬が白い泡やネバネバした液を吐くのは、次のような原因が考えられます。

  • 空腹
  • 呼吸器系の疾患や障害
  • ストレスや乗り物酔い
  • 熱中症などによる脱水症状

では、それぞれの原因について解説していきましょう。

空腹

犬は、空っぽになった胃から胃液が逆流して白い泡や胆汁を吐き出すことがあります。白い泡に黄色い液体が混ざることがありますが、これは胆汁が胃液に混ざったものです。

突然白い泡を吐いたとしても、その後元気で食欲もあれば心配はありません。食事を与えたり、食事の間隔を調整したりして様子を見ましょう。

呼吸器系の疾患や障害

食事を与えたにも関わらず白い泡の嘔吐を繰り返すようなら、呼吸器系の疾患が関係している可能性があります。考えられるのは、ケンネルコフと呼ばれる伝染性の呼吸器疾患、もしくはほかの呼吸器系の障害です。

嘔吐しているように見えますが、実際に吐き出したものは呼吸器系からの粘液や体液である可能性が高く、加えて咳き込んでいる場合は注意しなくてはなりません。

通常は数日から一週間程度で治ると言われていますが、なかには重症化することもあるので、嘔吐に加えて咳き込んでいるようなら病院を受診しましょう。ケンネルコフは投薬で治療を行います。ほかの犬と接触すると感染が広がる恐れがあるので、同居犬がいる場合は隔離したり、ほかの犬と接触する機会を避けたりすることが大切です。

ストレスや乗り物酔い

食後に白い泡を吐くなら、強いストレスを感じている可能性があります。空腹時と同じように、ストレスを感じた際は胃酸過多になるので嘔吐につながるのです。

ストレスの原因は心因性のものがすべてではなく、骨や関節などの痛みがストレスに繋がっている場合もあります。原因を探るためには、病院でくわしい検査を行いすみやかに対処しなくてはなりません。

そして感受性の強い犬は、乗り物酔いで白い泡を吐くこともあります。クンクン鳴いたりあくびをしたり、よだれを垂らす段階では軽度の乗り物酔いと言えますが、何度も嘔吐したりぐったりしたりする様子なら重度の乗り物酔いです。

乗り物酔いの場合は、乗り物からおろして落ち着かせてあげることで嘔吐がおさまります。口まわりをきれいに拭いてあげたり、換気をしたりして様子を見てあげましょう。

熱中症や何度も吐くことによる脱水症状

犬は熱中症を起こした際に、白い泡を吹くことがあります。口を開けて「ハアハア」と呼吸をしたり、大量のよだれを垂らしたりする場合は軽度の熱中症ですが、白い泡を吐いたり下痢やけいれんを繰り返したりするようなら重度な熱中症に陥っている可能性が高いです。

熱中症は早期発見・早期治療であり、気づかずに放置すると多臓器不全など取り返しのつかない事態に陥るリスクもあります。特に、犬は人間よりも熱中症になりやすく、人が涼しいと感じる環境でも熱中症にかかることがあるので注意が必要です。

白い泡を吐く以外で熱中症と思われる症状があれば、犬の体を冷やしながら急いで病院を受診しましょう。

犬が白い泡やネバネバの液体を何度も吐く!病院を受診する目安は?

白い泡を吐くのは生理現象でもあるので、大抵の場合は心配ありません。白い泡を吐くだけで元気があり、食欲もあるようなら病院へ行かず様子を見るだけで良いです。

しかし、吐くだけではなく以下の症状が見られる場合はすぐに病院を受診しましょう。

  • 元気がなくぐったりしている
  • 白い泡に血が混ざっている
  • 下痢や震えがある

スムーズな診断と適切な治療のために、病院へ行く際は犬の嘔吐物を採取して持参することをおすすめします。嘔吐物が治療の判断材料にもなるので、拭き取ったティッシュや付着したもの(トイレシーツなど)をビニール袋に包んで持参しましょう。

実物を持参するのが難しい場合、写真を撮っておくのもおすすめです。

また嘔吐物だけではなく、嘔吐の回数や思い当たる症状があれば問診時に伝えましょう。

犬がネバネバの白い泡を吐く以外に血や震えがある場合も病院へ

ネバネバした白い泡を吐くだけではなく、嘔吐物に血が混ざっていたり、震えが合ったりする場合は緊急性が高い症状と言えるため、すぐにでも病院を受診しましょう。

嘔吐物に血が混ざっていたり、コーヒー色をしていたりする場合は胃の疾患が疑われます。たとえば胃潰瘍や腸の腫瘍なら、胃や腸からの出血で変色した色の血が混ざります。嘔吐だけではなく下痢や腹痛、黒い便や血便などの症状が見られるのも特徴です。

また嘔吐とともに震えを起こしているなら、腹痛や低血糖、発熱、低体温、高カリウム血症、甲状腺機能低下症、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、低カルシウム血症などの可能性もあります。

これらの症状を確認したら、早めの処置が必要です。すぐにでも病院を受診しましょう。

吐かないのに口の中に白い泡がある場合は要注意

吐きたそうにしているのに吐けない場合、かつ口の中に白い泡や透明の粘液がある場合は、胃捻転を起こしている可能性が非常に高いです。

ネバネバした白い泡を吐き出した場合、胃液を吐き出しているだけで胃捻転ではありません。しかし、気持ち悪そうにして何度も吐こうとしているのに吐けない、口の中に泡がある、大量のよだれを出しているだけなどの場合は胃捻転が疑われます。

胃捻転は一刻一秒を争う緊急事態であり、症状が急激に悪化する恐れがあるためすぐに病院を受診する必要があります。

犬がネバネバした白い泡を吐くときの対処法

犬がネバネバした白い泡を吐いても、病院へ連れて行くほど深刻な状況ではない場合は、食事管理で症状の改善が期待できます

  • 食事の量や回数を調整する
  • カロリーオーバーに気をつける
  • 食物繊維など腹持ちがいい食事を与える

ポイントは、犬が過度な空腹状態にならないよう食事を見直すことです。もちろん十分な栄養摂取も大切なポイントなので、ただ食事量や回数を調整するのではなく、栄養面にも気を配るとよいでしょう。

ここで、ネバネバした白い泡を吐いた場合に意識してほしい食事管理についてくわしく解説します。

食事の量や回数を調整する

嘔吐した直後は、ドッグフードやおやつの量をいつもより減らして、食事回数を増やすようにしましょう。
一度に大量の食べ物を口にすると、胃を刺激して嘔吐を繰り返すことがあるからです。

食事の回数は、通常1日1回の場合は1日2回、1日2回の場合は1日3回などが目安になります。1回の食事量を減らしつつ、回数を増やすことで空腹になる時間を減らすことができます。

また、特定の時間に空腹になりやすいわんちゃんには空腹になりやすい時間に追加で食事を与えましょう。食事の間隔が空きやすい就寝前に与えると、朝まで空腹を防ぐことができます。

カロリーオーバーに気をつける

空腹状態を避けたいからと言って、食事量や回数を無理に増やすとカロリーオーバーしてしまい、肥満やクッシング症候群などの病気を引き起こす可能性があります。

先ほど紹介した方法は、あくまで食事回数を増やすという意味であり食事量を増やす意味ではありません

必要なカロリーは犬種や避妊・去勢の有無によって異なります。カロリーオーバーしないよう、食事回数を増やしながら調節していきましょう。

食物繊維など腹持ちがいい食事を意識する

空腹状態をなくすためには、腹持ちの良い食事を与えることもおすすめです。
そもそも空腹による嘔吐は、胃液の過剰分泌が影響しています。胃液の過剰分泌を予防するには、消化に時間のかかるフードを取り入れたり、食物繊維を含む食材を取り入れたりすると良いでしょう。

食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つがあります。なかでも水溶性食物繊維は、消化に時間がかかるので胃の中に長くとどまり、満腹感を持続させることができます。

一方、不溶性食物繊維はフードの体積を増して便秘改善が期待できると言われていますが、過剰に接種すると下痢の原因になります。与えすぎないように注意しなくてはなりません。

総合栄養食のドッグフードには5%程度の食物繊維が含まれているのが一般的です。総合栄養食は栄養バランスが良く、成長段階における健康維持に役立つドッグフードなので、カロリーと栄養の管理が苦手な人にもおすすめします。

犬がネバネバした白い泡を吐く原因を知って落ち着いて対処しよう

犬がネバネバした白い泡を吐くのは、大抵の場合空腹状態を示すサインでもあります。嘔吐をしても食欲があり、ぐったりしているなどの症状がない場合は食事管理で様子を見て問題ないでしょう。
食事管理のポイントは、食事量を減らしつつ食事回数を増やすことです。また、ネバネバした白い泡を吐いたと同時に体温が高かったり呼吸が早かったり、ぐったりしている様子を見せている場合は病気のサインを示している可能性もあります。
少しでも不安に思うところがあれば、すぐにでも病院を受診するようにしましょう。