2024/09/01

犬の呼吸が早いときはどうしたらいい?家でできる対処法から病院に行く目安まで

「わんちゃんの呼吸がいつもより早く、苦しそう…」

「散歩じゃないのに息が荒くなっているのはなぜ?」

「呼吸が早くなっているときに家でできる対処法が知りたい!」

…など、愛犬の呼吸の様子を見て不安に思う場面は多いでしょう。

犬の呼吸が早くなる原因は、運動やストレス、体温調節などさまざまです。様子を見たほうがいい場合もあれば、すぐにでも病院を受診したほうがいい場合もあります。

そこで今回は、わんちゃんの呼吸が早くなる原因や病院を受診する目安、呼吸が早い場合に考えられる病気の可能性などについて解説します。

犬の呼吸が早い!病院に連れていく目安は?

犬の呼吸が早い場合、以下に思い当たる節があればすぐにでも病院を受診しましょう。

  • 運動をしていないのに呼吸が荒い
  • 舌の色が青い、もしくは紫になっている
  • いつもの呼吸音ではない
  • 上を向いて苦しそうにしている
  • いつもの呼吸より明らかに呼吸回数が多い

言葉を発することができないわんちゃんだからこそ、少しでも異変を感じたら迅速に対応しなくてはなりません。まずは、呼吸が早くなっているときに病院を受診する目安についてくわしく解説します。

病院に連れていく目安

運動をしないのに呼吸が荒い場合は、熱中症や痛み、急性の病気、慢性の病気が考えられます。特に熱中症の場合、軽度だからといってそのまま様子を見ても症状が悪化する一方です。命にかかわるリスクもあるので、早めの受診をおすすめします。

そして呼吸が早いと感じたら、口の中の粘膜や舌の色を見てみましょう。正常時、粘膜や舌はピンク色をしていますが、色が青い、または紫になっている場合はチアノーゼを引き起こしている場合もあり、命にかかわるリスクもあるので要注意です。

また、呼吸が早く「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった呼吸音をしている場合は、鼻や喉の病気を発症している可能性があります。特に基礎疾患のある老犬は、急性誤嚥性肺炎に注意。元気がなく、しんどそうに呼吸をしている場合はすぐに病院を受診しましょう。

さらに犬は、呼吸が苦しくなると上を向くことがあります。具体的には、おすわりをして首を伸ばした状態です。自分から伏せができない状態だと、呼吸がしにくく緊急性が高い症状と言えます。上を向いている状態で病院を受診する際は、倒れないように体の横や顎の下をクッションなどで支えてあげましょう。

ここまで病院を受診する具体的な目安を解説しましたが、呼吸音や見た目に問題がなくても、普段より呼吸数が早ければ病院を受診するのがベターです。呼吸の異常を判断するためにも、わんちゃんの普段の呼吸数について把握しておくと良いでしょう。

犬の呼吸が早いとき家でどうしたらいい?何をすべき?

エアコンで室温を一定に保ち、わんちゃんが楽になれる姿勢をとってあげましょう。犬にとって、うつ伏せが一番呼吸しやすい姿勢です。顎の下にクッションや丸めたタオルをおいてあげると、呼吸が楽になることがあります。

また、胸の下に痛みがある場合はこの限りではありません。肺の圧迫を防ぐためにも、横向きにしてあげるほうが良い場合もあります。

熱中症も!犬の呼吸が早いときに考えられる原因

犬の呼吸が早いときに考えられる原因としては、以下のことが考えられます。

  • 運動により酸素を消費した
  • 体温調節のため
  • ストレス
  • 喉や食道に何かが詰まっている
  • ケガの痛みを感じている

このような状況下で、口を大きく開けて荒い呼吸を繰り返すことをパンティングと言います。では、犬がパンティングを引き起こす原因についてくわしく解説しましょう。

運動で酸素を消費した

運動後に呼吸が早く、荒くなるのは犬だけではなく人も同じです。これは運動で酸素を消費した際、体外から酸素を取り込むために行われます
散歩をした後、また遊んだ後に呼吸が荒くなるのは、生理現象のひとつです。

熱中症などが原因で体温を調節するため

犬は汗をかくことができないため、呼吸を通して体温調節をおこないます。
運動後と同じように体温が上昇した際の生理現象と言えるため、安静にしていれば問題はありません。

ただし、熱中症を起こしている場合は命に関わる問題でもあるため、呼吸が早くなると同時に嘔吐や下痢、震え、痙攣などの症状が見られる場合はすぐに病院を受診しましょう。

ストレス

犬に限った話ではありませんが、恐怖や緊張、不安、興奮などの精神的な要因で交感神経が優位になると、一時的に呼吸が荒くなる場合があります。
原因を取り除いたり、時間が経過したりすれば呼吸が安定し、正常に戻る場合が多いです。

喉や食道に何か詰まって苦しい

誤飲によって喉や食道に異物が詰まると、呼吸が苦しくなって体全体で呼吸をするようになります。誤飲の可能性があれば、すぐにでも病院を受診しましょう

ケガによる痛みを感じている

ケガにより痛みがあるとき、また細菌感染がある場合に呼吸が早くなることがあります。
触られて嫌がるような場所がないか、また傷により出血している場所がないかを確認しましょう。

犬の呼吸が早いときに考えられる病気もチェック

 

犬の呼吸が早くなるのは生理現象であることも多いですが、病気が潜んでいる可能性もゼロではありません。呼吸が早いときに考えられる病気は、以下の通りです。

  • 鼻の病気
  • 喉や気管の病気
  • 肺や胸の病気
  • 心臓の病気

鼻の病気

鼻炎などのように、鼻の内部で炎症が起こっていると呼吸が早くなったり、口で呼吸したりするようになります。鼻が詰まると、酸素が取り込みにくくなるからです。

原因は細菌やウイルスの感染、アレルギー、異物混入、腫瘍などが考えられます。症状が続く場合、鼻の病気を疑ってもおかしくはないでしょう。

喉や気管の病気

気管支炎や気管虚脱、気管支虚脱などの病気も、器官に空気が通りにくくなって呼吸が早くなることがあります。病気によっては、発症した犬との接触によりほかの犬に病気が移る可能性があるので、注意しなくてはなりません。

喉の病気で考えられるのは、喉の奥で起こる短頭種気道症候群などです。パグやブルドッグなどの短頭種に多く見られる病気ですが、この場合病院での処置により症状を軽減させることができます。呼吸困難の状態が続くと危険な状態になるので、早めに受診しましょう。

そして気管支の病気で特に注意したいのが、伝染力が強い犬伝染性気管気管支炎です。急性の呼吸器感染症を原因とした、乾いた咳が出るようになります。痰が絡んだような咳に変わる場合もあるので、思い当たる症状があれば病院を受診しましょう。

ちなみに、喉や気管の病気はワクチン接種で予防することが可能です。

肺や胸の病気

細菌感染や食べ物の誤嚥で肺炎を起こしている、また感染症や腫瘍、心不全などで胸の中に水が溜まる“胸水”により、呼吸が早くなることがあります

肺炎の場合は気管支炎や鼻炎よりも重く、急激に症状が悪化することもあるため、治療を行っても命を落とすケースがあります。早めの処置が求められる、重篤な症状です。

また胸水により呼吸が早くなってしまうのは、呼吸をしても肺に水が溜まることでうまく膨らまないのが理由です。通常では息切れしない場面でも呼吸が早くなるので、早期発見・早期治療で胸水を除去しなくてはなりません。

心臓の病気

僧帽弁閉鎖不全症や心筋症など、心臓の病気が原因で呼吸が早くなることもあります。

僧帽弁閉鎖不全症は小型犬に多く見られる病気で、遺伝的要因が疑われています。運動時に疲れやすく呼吸が早くなりやすい、咳が続く、安静時の呼吸も多くなるなどの症状が見られ、緊急性が高い肺水腫が起こりやすい状態です。

また、心筋症により心臓の働きが弱まると、呼吸困難だけではなくチアノーゼを引き起こす場合があります。特に大型犬は、拡張型心筋症の発症リスクが高く、失神や虚脱、突然死が認められるケースがあるため注意が必要です。

老犬の呼吸が早い場合はどうする?

暑さが原因なら、エアコンで室温を下げたり木陰で休ませたりして、暑さから老犬の身を守ってあげることがポイントです。脱水症状を起こさないためにも、水分補給をしてあげましょう。

また加齢などの生理的な原因で呼吸が早くなることもあります。この場合は呼吸が楽になるよう、うつ伏せの姿勢をとらせてあげると良いでしょう。

犬の呼吸が早いときも焦らない!呼吸数測り方を知っておこう

普段からわんちゃんの呼吸数を図っておくと、呼吸が早くなったときの異常について判断しやすくなります。ここで、犬の呼吸回数の測り方と正常な回数の目安について解説しましょう。

犬の呼吸回数の測り方

わんちゃんがリラックスしている状態、また就寝時に測定しましょう。

呼吸数は、わんちゃんの胸や腹が膨らんで元に戻るまでを1回としてカウントします。軽く手を当てて見たり、呼吸に伴う上下運動でカウントしたり、鼻の前に手鏡をかざして鏡が曇る回数をカウントしたりなど、やりやすい方法で試してみてください。

なお、わんちゃんの呼吸回数は何分も計測する必要はありません。15秒間の間に何回呼吸をしているかカウントすると、1分間の呼吸回数を把握することができます。15秒間の呼吸回数を4倍にしたものが、1分間の呼吸回数です。

犬の呼吸回数は毎分10~35回が正常な目安

正常な場合の1分間の呼吸回数は、小・中型犬で20〜30回、大型犬で15回ほどです。また、夏は呼吸数が多少上がる傾向にあります。もちろん個体差もあるため、普段からわんちゃんの呼吸数を把握しておくと良いでしょう。

犬は暑い夏も呼吸が早いことが多い!原因を見つけて冷静に対処しよう

犬の呼吸が早くなるのは、生理現象のように異常がない場合もあります。運動した後や室温が高いなど、原因が分かる場合は様子を見ても良いでしょう。
しかし、なかには重大な病気が隠れているケースもあります。呼吸が早くなっているだけではなく、元気がなかったり、チアノーゼを引き起こしていたりなど、ほかの症状が見られる場合はすぐに病院へ連れていきましょう。