2024/08/31

犬の平均寿命は何歳?犬種別の寿命や長生きするコツを紹介

この間まで子犬だったのに、いつの間にか大人になっていたなんてことありますよね

特に犬は人間と比べて成長が早いため、愛犬の寿命が気になる方もいるかと思います。

この記事では愛犬と長く一緒にいるためのコツや犬種別の平均寿命 本記事では、犬の平均寿命や愛犬が健康で長生きするための3つの秘訣をご紹介します。犬の寿命に関する正しい知識を持ち、愛犬との時間を有意義に過ごしましょう。

性別によって平均寿命は変わる?犬の平均寿命を紹介

一般社団法人ペットフード協会の調査において、犬の平均寿命は14.62歳(2023年時点)であると公表されています。実は、過去よりも犬の平均寿命が伸びているという指摘もあります。

1983年、犬の平均寿命は7.5歳(ペットフード工業会※当時の独自調査)でした。そして2010年には13.87歳、2023年には14.62歳と平均寿命が伸び続けており、過去40年間で犬の寿命は2倍にもなっていることがわかります。

平均寿命が2倍になった理由として考えられるのは、次の通りです。

  • 室内での飼育が一般的になった
  • バランスの良い食事を与えることが一般的になった
  • ワクチン接種や予防薬が普及した
  • 獣医療の進歩

ちなみに、犬は性別によって寿命が異なるとは考えられていません。これはオス・メスそれぞれにホルモンに関係する病気のリスクがあるためです。

一方、避妊手術や去勢手術により寿命が伸びるとも言われています。手術によりホルモンの影響が少なくなると、特有の病気にかかりにくくなるのがその理由です。

愛犬になるべく長生きしてもらうためにも、健康に配慮したドッグフードで食事管理を続けたり、定期的に健康診断を受けたりしながら病気を予防していくことが大切です。

寿命の長い犬種とは?

一般的には、小型犬のほうが中型犬・大型犬よりも平均寿命が長い傾向にあります。

体格別の平均寿命は下記の通りです。

  • 超小型犬…15.07歳
  • 小型犬…14.29歳
  • 中型犬・大型犬…13.86歳

犬の体格により老化スピードが異なる節が一般的ですが、明確なメカニズムは解明されていません。なにより、犬種によって特定の病気にかかるリスクがあるため、同じ体格でも寿命が平均より短くなるケースも存在します。

ここで、比較的寿命が長いと言われている犬種についてご紹介しましょう。

超小型犬
  • ヨークシャー・テリア
  • チワワ
  • カニンヘンダックスフンド
  • トイプードル
  • 豆柴
小型犬
  • イタリアングレーハウンド
  • パピヨン
中・大型犬
  • 柴犬
  • ビーグル
  • ミニチュアシュナウザー

また、ミックス犬も純血種に比べて長生きしやすい傾向にあります。
さらに平均寿命が長い親を持つミックス犬ほど長生きしやすいため、小型犬同士のミックス犬は大型のミックス犬よりも長寿になる可能性が高いでしょう。

獣医師

宮田先生

記事のなかで犬の平均寿命が7.5歳とされる1983年。翌年の1984年に私は新卒獣医師として社会に出ました。
当時は雑種犬を家の外で飼うスタイルが一般的で、飼い犬には番犬の色合いがありました。また、蚊が媒介するフィラリア症の予防知識が普及していなかったため、若い犬が同症で亡くなるケースが多くありました。
年を経るごとに犬のフィラリア症は減少し、現在ではほとんど見なくなりました。

ギネス認定されている犬の寿命

昨今、ギネス新記録の「世界最高齢の犬」を巡ってさまざまなニュースが飛び交っています。
2023年2月に認定されたのは当時31歳の犬でしたが、翌年2月にはギネス記録が剥奪されているのです。ここで、海外と国内それぞれでギネス認定されている犬の寿命について解説します。

海外

2023年2月、ギネス世界記録に「世界最高齢の犬」として認定されたのは、ポルトガルのボビ(ラフェイロ・ド・アレンティジョ)31歳です。残念ながらボビは2023年10月に31歳165日の記録を残して亡くなりましたが、先ほど触れたように2024年2月にその記録が剥奪されています。

ギネス記録には、その対象となる決定的証拠や根拠が必要になります。ボビの場合は年齢の根拠が必要でしたが、ポルトガル政府のデータ記録には2008年以前に生まれた犬は年齢証明が必要でなかったため、決定的証拠を示すことができず「記録ホルダーとして留めることができない」と判断されました。

よって、2024年8月現在ギネス世界記録に「世界最高齢の犬」として認定されているのは、ボビの前に最高齢の称号を与えられた23歳7日(認定時点)のスパイク(チワワ)です。スパイクは現在も存命なので、今後も注目されることでしょう。

日本

2010年12月、日本でも存命中の世界最長寿の犬としてギネスブックに認定されていた犬がいました。中型のMIX犬、ぷースケです。
残念ながら2011年12月、26歳9ヶ月(人間の年齢に換算すると125歳)で死亡しましたが、生前には入院や事故で生死をさまようほどの怪我を経験したこともありました。死因は老衰です。

ちなみに、プースケの寿命は世界歴代10位を記録しています。さきほど紹介したとおり、MIX犬は他の犬種と比べると寿命が長い傾向にあります。

犬の年齢を人間換算すると何歳?計算式を紹介

犬は人間よりも年を取るスピードが早いと言われていますが、その具体的なスピードについては以下をご覧ください。

犬種 計算式(人間の年齢で換算)
小型犬・中型犬 24+(年齢-2)×4
大型犬 12+(年齢-1)×7

※参照:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」
※超小型犬については該当データなし

ここで補足をしておきたいのは、小型・中型犬に関しては、最初の2年で24歳、3年目からは1年に4歳ずつ年を取るといわれている点です。大型犬は小型犬よりも寿命が短い傾向にあると解説しましたが、これは大型犬が小型犬に比べ年を取るスピードが早いことに関係しています。

上記で紹介した環境省のデータに基づき、体格別で犬の年齢を人間換算したものを以下の表でまとめました。

犬を飼育している人は、愛犬が人間換算で何歳になるかチェックしてみましょう。

犬の年齢

大型犬を人間に換算した年齢

小型・中型犬を人間に換算した年齢

1歳

12歳

15歳

2歳

19歳

24歳

3歳

26歳

28歳

4歳

33歳

32歳

5歳

40歳

36歳

6歳

47歳

40歳

7歳

54歳

44歳

8歳

61歳

48歳

9歳

68歳

52歳

10歳

75歳

56歳

11歳

82歳

60歳

12歳

89歳

64歳

13歳

96歳

68歳

14歳

103歳

72歳

15歳

110歳

76歳

16歳

117歳

80歳

17歳

124歳

84歳

犬も人間と同じように、中高齢期を迎えると運動量が減ったり、寝ている時間が増えたり、耳が遠くなったりとさまざまな変化が見られるようになります。

これが年齢によるものなのか、また病気によるものなのかを判断するためにも、犬の年齢を人間換算しておく意味は大いにあります。

愛犬の寿命を延ばすための生活習慣

愛犬に長生きしてもらうためには、以下4つのポイントが鍵となります。

  • 散歩や運動
  • 食事
  • 飼育環境
  • 口腔ケア

健康のためには、散歩や運動の時間を作って運動不足を解消したり、ストレスを発散させたりすることが重要です。

また食事面においても、犬の寿命に大きく関わると考えられています。しかし現代では肥満の犬も増えているため、平均寿命を伸ばすためにも栄養バランスを管理していく必要があるでしょう。

そして犬の平均寿命が伸びた要因の一つに、犬の室内飼いが増えていることが挙げられます。また飼い主の愛犬に対する健康意識が高まったこと、獣医療の進歩も平均寿命の増加に関係しているため、飼育環境の改善や口腔ケアなども意識しておきたい要素です。

ではここで、先ほど挙げた4つのポイントについて具体的に解説します。

散歩や運動の時間を作る

散歩や運動の時間を作るメリットは、運動不足の解消や肥満の防止、ストレス発散、社会性の獲得などです。近年では室内飼いの犬も増えていますが、平均寿命の増加とともに犬の運動不足が懸念されています

犬種や体格、年令によって個体差はあるものの、散歩は朝夕2回・1回15〜30分が目安です。最適な散歩時間については、かかりつけの獣医師に相談するとよいでしょう。

食事量や与えるものを意識する

近年では犬の健康に配慮したドッグフードが増えていますが、犬は体質的に胃が大きいことから食べ過ぎが心配されています。また早食いのクセがついていると窒息や誤嚥性肺炎を引き起こすリスクがあるため、食事量を調整したり、早食い防止の食器などを使用したりして、食事の摂り方に配慮する必要があるでしょう。肥満防止のために、低脂肪なフードも理想です。

また、犬は炭水化物の消化が苦手だと言われています。炭水化物自体は犬にとって必要な栄養素ですが、できるだけ消化しやすい食事やドッグフードを用意してあげるのが理想です。

室内で飼育する

室内飼育のメリットは、安全性が確保できていること、そして体に異常があったときにすぐ気がつけるところです。排泄物のチェックもしやすく、健康管理がしやすい環境と言えるでしょう。

また、健康のためには愛犬が健康な時の状態を知ることが大切です。常に愛犬とコミュニケーションを取りながら、毎日の状態をチェックしておきましょう。かかりつけの動物病院に、健康な状態を聞いておくのもおすすめです。

歯磨きをする

歯磨きを習慣化させることで、虫歯や歯周病の発症リスクを防ぐことができます。実は、人と同様に犬や猫においても歯の健康は寿命に直結すると言われているため、歯を清潔に保つことは重要なことと言えます。

アメリカで行われた調査によると、1年に一度全身麻酔で予防的歯科処置をした犬は、そうでない犬と比べて死亡リスクが約20%低下するという報告がありました。特に、犬は3歳を過ぎると歯周病リスクが高くなると言われており、虫歯や歯周病が悪化すると命の危険につながる可能性があります。

毎日の歯磨きに加え、動物病院で予防的歯科処置を受けることもおすすめです。

獣医師

宮田先生

寿命と共に健康寿命も延びてもらいたいものです。口腔内が健康な犬ほど健康寿命が長い印象があります。食後の歯ブラシを毎日された犬は、多くの場合、年齢を重ねても歯石がとても少ない綺麗な歯と歯肉を維持しています。犬が幼い頃から犬用歯ブラシに慣れさせておくといいでしょう。

愛犬が健康で長生きするための生活習慣の注意点

愛犬に長生きしてもらうためにも、食事管理や適度な運動などの生活習慣に加え「定期的な健康診断」と「避妊・去勢手術」を受けることがおすすめです。

隠れているかもしれない病気を見つけるため、またホルモンの影響による病気のリスクを減らすためにも、定期的な健康診断や避妊・去勢手術は大きな意味を持っています。

定期的に健康診断をする

予防接種以外でも、年に一度は健康診断を受けるようにしましょう。特にシニア犬は、年2回診てもらうことをおすすめします。

健康診断のメリットは、病気の早期発見が期待できること、そして万が一のときに頼れるかかりつけの動物病院が持てることです

もしも入院になった場合、犬にかかる精神的な負担は計り知れません。犬を病院に慣れさせておくことで、精神的な負担を減らすことにも繋がります。

避妊・去勢手術を行う

避妊・去勢手術を行わないとオス・メスともに生殖器官の疾患を引き起こすリスクがあるため、愛犬の妊娠を強く望まない限りは若いうちに避妊・去勢手術を行うことをおすすめします。

避妊・去勢手術を行うことで、疾患のリスクを減らすだけではなく、発情期に見られる問題行動や攻撃性のある行動(オスの場合)を抑える、また望まない妊娠を防ぐことができます。

犬の寿命に関する気になる疑問

「犬が18歳だと、人間は何歳になる?」
「何歳から老犬扱いになる?」
「死期が近いとどうなる?」

‥など、犬の寿命に関して疑問を持つ人のために疑問にお答えします。

”犬が18歳だと人間は何歳?”

小・中型犬の場合は88歳、大型犬の場合は131歳です。
どちらにしても平均寿命を大きく上回っていることになるため、より健康に配慮した生活習慣が求められます。

”老犬は何歳から?”

「何歳から老犬」と定義するのは難しいものの、一般的には7歳からシニア期と呼ばれることが多いです。
とはいえ、本格的な高齢期が始まるのは10歳を過ぎてから。被毛がぱさついたり、白髪が増えたり、目が白く濁ってきたりすれば老化のサインなので、疾患には十分気をつけましょう。

”死期が近い犬の特徴は?”

死ぬ前の兆候として見られる代表的な症状は、食欲の減少や呼吸の乱れ、発作(けいれんなど)、体温の低下、嘔吐・下痢、排尿の異常(頻回など)があげられます。
死期が近い犬は、人と同じような兆候が見られます。
できるだけ愛犬のそばにいて、撫でたり声掛けをしたりしながら安心させてあげましょう。

まとめ

犬の寿命は超小型犬で15.07歳、小型犬で14.29歳、中・大型犬で13.86歳(2023年発表)です。

避妊・去勢手術の有無や犬種によって左右されますが、一つだけ事実なのは過去40年間で犬の寿命が倍になっていること。
飼育環境の変化や獣医学の進歩、飼い主の健康意識が影響していると言われています。

愛犬に長生きしてもらうためには、食事や運動などの生活習慣に加え、定期的な健康診断や避妊・去勢手術が必要です。
異常に早く気づくためにも、日々コミュニケーションを取りながら、愛犬の様子を観察しましょう。

獣医師

宮田先生

犬の寿命が延びても、飼い犬とのお別れは必ずやって来ます。この時に悲しみを覚えない飼い主はいません。
ペットロスは深い悲しみゆえに生まれた言葉です。飼い主は元気だった頃の飼い犬を思い浮かべます。こちらを嬉しそうに見つめる飼い犬の目。いつも飼い主を笑顔にさせた目です。
あなたがペットロスに陥ったら、あなたを笑顔にさせた飼い犬の目を思い出して下さい。そして飼い犬と同じような純粋な目で、愛する人や身近な人を見て下さい。彼らは笑顔になり、あなたも笑顔になります。笑顔のなかで生き続ける飼い犬を、あなたは感じるようになるでしょう。

監修者
宮田和彦

宮田和彦

神奈川県で生まれ、北海道の獣医学科を卒業。 1991年から2024年まで動物診療施設を開設。